介入の情報提供を目的とした、手指衛生行動に影響を与える因子の指標に関する心理測定的評価

2019.08.30

Psychometric evaluation of a measure of factors influencing hand hygiene behaviour to inform intervention


S. Lydon*, C. Greally, O. Tujjar, K. Reddy, K. Lambe, C. Madden, C. Walsh, S. Fox, P. O’Connor
*National University of Ireland Galway, Ireland
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 407-412
背景
手指衛生手技はシンプルであるが、関連する行動は複雑で、容易に理解、説明、変容がなされない。「何を」(達成しなければならない基準)だけではなく、「どのように」(いかにして基準を達成すべきかの指針)についても、医療管理者および医療従事者の指針となるデータを提供するための実践ツールが必要である。
目的
本研究の目的は、手指衛生行動の実践に影響を与える因子に対する姿勢を評価するための妥当性のある質問票を作成することである。この質問票は、医療従事者により記入、管理、分析が容易にでき、適切な介入策が特定される。確証的因子分析により構成妥当性の評価、自己報告による手指衛生行動との比較により予測妥当性の評価、部門単位での手指衛生行動の直接観察により収束的妥当性の評価を実施した。
方法
能力・機会・動機づけ‐行動モデルを用いて、25 項目の質問票を作成し、アイルランドの集中治療室(ICU)の職員に配布した。2 つの ICU で手指衛生行動の直接観察を実施した。
結果
計 292 の調査回答(回答率 41.0%)を分析の対象とした。確証的因子分析により、17 項目の質問が採用された。重回帰分析では、能力・機会・動機づけを含むモデルが、自己報告による行動意思の有意な予測因子であることが示された(F[3,209] = 22.58、P < 0.001)。とはいえ、機会因子は、回帰モデルに有意に寄与しないことが確認された。
結論
能力・機会・動機づけ‐行動モデルを用いた手指衛生質問票は、信頼できる妥当なツールであり、特定の医療部門のニーズに合致した手指衛生介入の策定および評価に資するデータを提供する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
COM-B モデル(能力・機会・動機づけ‐行動モデル)を用いた手指衛生についての医療者の意識調査の論文である。COM-B モデルは、行動と、能力、機会、動機付けとの関連性を調べるためのモデルである。「患者に触れる前」、「清潔操作の前」の手指衛生において自己評価と観察による評価の差が顕著だったことは今後の対応策に役立つと思われ、自施設での評価に使用できるモデルであると思われた。

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