嘔吐のシミュレーション後の生存ノロウイルスの分布の可能性
Potential distribution of viable norovirus after simulated vomiting
C. Makison Booth*, G. Frost
*Health and Safety Executive, UK
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 304-310
背景
嘔吐は、身体が自己から有害な胃内容物を迅速に取り除く 1 つの方法である。このプロセスは、通常は嘔吐する個人にとって有益である一方、彼らがノロウイルスのような伝染性が高い病原体に感染していた場合、重要な感染管理の問題を提起する可能性がある。ノロウイルスは、生存したまま嘔吐を通じてどれだけの距離を伝播する可能性があるか分かっておらず、特に、清掃中に見逃される恐れがある広範囲に及ぶ液滴および飛沫においては不明である。
目的
嘔吐のシミュレーション後の、生存ノロウイルスの潜在的な伝播の程度を明らかにすること。
方法
本研究では、嘔吐のシミュレーション後のウイルスの分布と生存の最悪の事態として、ノロウイルスの代用のネコカリシウイルス(FCV)を含む感染培養液とともに、「嘔吐のラリー」と呼ばれる嘔吐のシミュレーションのためのシステムを使用した。嘔吐のシミュレーション後に空気および床サンプルを採取し、プラークアッセイで生存ウイルスについて分析した。共分散分析で、FCV 濃度における差をサンプル量および場所によって検討した。
結果
嘔吐のシミュレーション後に採取したいずれの空気サンプルからも生存ウイルスは分離されなかった一方、ほぼすべての床サンプル(90 カ所中88 カ所)から 10 プラーク形成単位/mL 以上の濃度の FCV が回収された。これらは、嘔吐システムから 3 メートル離れて伝播した小さな液滴を含んだ。FCV 濃度はサンプル量および場所の両方によって決まることが証明された。
結論
本研究により、ノロウイルスは広範囲に及ぶ小さな液滴の中でさえ、感染症を誘発できる濃度で放出され生存できることが示唆された。そのような液滴は清掃中に気づかれないまま見過ごされ、ノロウイルスのアウトブレイク管理の負荷を増やす可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本報告は、嘔吐によりノロウイルスを含む吐物がいかに広範囲に飛散しているかを示すものである一方で、空気中のサンプルから検出されなかったことから、空気感染の可能性を否定するものである。余談であるが、この研究に用いられたラリー君、”vomiting larry”で動画検索してみていただきたい。なかなかの嘔吐っぷりである。
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