米国における 2012 年から 2016 年の入院期間中のクロストリジウム(クロストリジオイデス)・ディフィシル(ClostridiumClostridioidesdifficile )感染症による負担★★

2019.06.18

Burden of Clostridium (Clostridioides) difficile infection during inpatient stays in the USA between 2012 and 2016


S. Mollard*, L. Lurienne, S.M. Heimann, P-A. Bandinelli
*Da Volterra, France
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 135-140
背景
クロストリジウム(クロストリジオイデス)・ディフィシル(ClostridiumClostridioidesdifficile)感染症(CDI)の医療負担は大きいが、十分に認識されているわけではない。
目的
米国における 2012 年から2016 年の全国的な退院記録を分析することにより、CDI に起因する入院費・入院期間・院内死亡率を評価すること。
方法
Truven Health MarketScan Hospital Drug Database を用いた後向き観察研究を実施し、CDI と診断された入院患者 46,097 例について分析した。CDI の主診断または副診断(併存疾患)を受けた患者、および CDI により再入院した患者を対象に、費用、入院期間、院内死亡率を調査した。CDI が併存疾患の場合、CDI と 2 次診断された入院患者 17,273 例を、CDI と診断されていない対照群の入院患者 84,164 例と比較する Coarsened Exact Matching により、CDI に起因する負担を推定した。
結果
CDI が入院の主な理由であった入院患者は、平均費用が 10,528 米ドル、平均入院期間が 5.9 日であった。CDI が併存疾患であった入院患者は、平均費用が 11,938 米ドル増加、平均入院期間が 4.4 日延長した。さらに、CDI による院内死亡率は平均して 4.1%増加した。
結論
本研究の結果は、医療施設および健康保険制度における CDI の大きな経済的負担について明らかにした既報と一致している。CDI が併存疾患として記録されている場合、病院費用と入院期間が有意に増加した。これらの結果は、CDI の予防と治療のための革新的なアプローチの必要性を強調するものである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
日米では CDI の流行株の有無が異なり、米国では CDI に罹患すると重症化することもあるため対策は非常に大きな課題である。医療経済に与える影響も多く見過ごすことができない課題となっている。医療経済的な背景を明確化することで、施策に反映し対策が進むことで患者にとっても病院にとっても改善となる。

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