再入院時のカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の消化管保菌と抗菌薬曝露の影響

2019.05.10

Carbapenemase-producing Enterobacteriaceae digestive carriage at hospital readmission and the role of antibiotic exposure


S. Evain*, C. Bourigault, M.-E. Juvin, S. Corvec, D. Lepelletie
*University of Nantes, France
Journal of Hospital Infection (2019) 102, 25-30
背景
カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(CPE)の保菌は、とくに細菌叢の変化がみられる患者において、退院後数か月間にわたり持続する可能性がある。
目的
OXA-48 CPE のアウトブレイク期間中に確認された OXA-48 CPE 陽性歴のある患者が、どの程度再入院したか特定すること、再入院時および再入院中における消化管の CPE 陽性またはCPE 陰性について評価すること、および抗菌薬曝露が再入院中の CPE 保菌状態に及ぼす影響を評価すること。
方法
2013 年 6 月から 2016 年 5 月までの CPE の全患者コホート(189 例)を調査データベースに登録し、病院内の具体的な患者集団数による毎日の情報およびアラートプログラムを用いて再入院時に系統的に確認した。コホートの各患者において、CPE 保菌のスクリーニングを再入院当日と、入院期間が 6 日を超えた場合は週 1 回、系統的に実施した。
結果
全体で、CPE 保菌歴のある患者 114 例(60.3%)が当院に再入院した。再入院の期間が 24 時間未満のためスクリーニングを受けなかった患者 12 例を除外すると、最初の再入院時に、88 例(86.3%)が CPE 陰性、14 例(13.7%)が CPE 陽性であった。研究期間中、CPE 陽性の 14 例は感染状況に変化がなく、CPE 陽性のままであった。陰性患者 88 例のうち、65 例は研究期間中、陰性のまま経過し、23 例は再入院時スクリーニングで陰性であったが、その後、CPE 陽性となった。CPE 陽性は、再入院期間の抗菌薬曝露と有意に関連した(P < 0.001)。
結論
再入院時スクリーニングで陰性であることが、必ずしも CPE 保菌の消失を予測しない。抗菌薬曝露が、持続的な CPE 陽性のリスクに影響するようである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
CPE 保菌歴のある患者の再入院時の CPE 保菌について調べた論文である。再入院時のCPE 陽性率は14%、特に、3 か月以内の再入院患者で多く見られた。再入院までの期間と CPE 保菌への影響は、再入院時のスクリーニングポリシーを考える際に、1 つのリスクファクターとなりえる。

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