集中治療における感染制御バンドル:低中所得国での国際的な横断的調査

2019.03.12

Infection control bundles in intensive care: an international cross-sectional survey in low- and middle-income countries


E. Alp* , B. Cookson, H. Erdem, J. Rello, Survey Group
* Erciyes University, Turkey
Journal of Hospital Infection (2019) 101, 248-256
背景
低中所得国では、国家的なサーベイランスシステム、標準化された感染症定義、感染予防・制御組織や法的基盤が十分でないため、医療関連感染症(HCAI)による負荷が知られていない。
目的
低中所得国における感染予防・制御バンドルの実施状況と最も頻度の高い介入変数を明らかにすること。
方法
感染予防・制御バンドルの実施/方針について自記式調査を行うために、Infectious Diseases International Research Initiative(ID-IRI)グループのメンバーと、低中所得国で感染予防・制御に従事する専門医に質問票を電子メールで配信した。回答のあった国の所得を、世界銀行の定義に従い、低・中・高所得に分類した。次いで、低中所得国の結果を、高所得国から成る対照群と比較した。
結果
今回の調査で、低所得国 1 か国、中所得国 19 か国(欧州 13 か国)から実施状況が報告され、高所得国 8 か国と比較した。中所得国のうち 18 か国(95%)は、院内に感染予防・制御委員会を設置しており、12 か国(63.2%)は、合意による年間計画を作成し、HCAIの報告を提示していた。高所得国では、中所得国よりも、合意による年間計画の作成(それぞれ、87.5%対 63.2%)、HCAI の年間報告(それぞれ、75.0%対 63.2%)の率が高かった。すべての高所得国が、1 つ以上の侵襲的デバイス関連サーベイランスプログラムを作成していた。中所得国のうち 7 か国(37%)では、侵襲的デバイス関連サーベイランスプログラムが存在せず、6 か国(32%)では人工呼吸器関連肺炎予防バンドルが、7 か国(37%)ではカテーテル関連尿路感染症予防バンドルが、5 か国(27%)では中心ライン関連血流感染予防バンドルが存在しなかった。
結論
低中所得国では、限られた資源に適応し、さらに感染率低下の妥当性が検証された低費用かつ高レベルのエビデンス変数に基づく独自のバンドルを開発する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
感染予防のバンドルが効果的な手段であることが多くの論文で証明されている。バンドルは必須ではないが、ヒューマンエラーを減らし安全な医療提供を標準化するためのツールとして各国でわかりやすい形式で普及させていく必要がある。

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