感染制御調査書が患者の病院選択に及ぼす影響:パイロット調査★★

2009.03.31

Influence of infection control report cards on patients’ choice of hospital: pilot survey


V. Merle*, J.-M. Germain, M.-P. Tavolacci, C. Brocard, C. Chefson, C. Cyvoct, S. Edouard, L. Guet, E. Martin, P. Czernichow
*Rouen University Hospital, France
Journal of Hospital Infection (2009) 71, 263-268
病院の感染制御の質に関する調査書が患者の態度に与える影響について、これまで検討されたことはない。2006年、フランス政府はすべての病院に対して感染制御活動に関する調査書(ICALIN)の提出を義務づけた。このアプローチの目的は、ICALINスコアが低いために患者が減少する恐れがある場合に、医療従事者が日常業務を改善することを促すというものであった。著者らの目的は、病院選択に関する患者の態度にICALINがどのような影響を及ぼすかを評価することである。種々のICALINスコアを有する病院14施設を無作為に選択し、その患者および面会者の調査を実施した。患者と面会者381名を便宜標本として、ICALINに関する無記名式質問票、病院選択の理由、およびICALINスコアが低い場合の態度について回答した。ICALINに対する関心および病院選択に対するICALINの影響に関連する因子を、ロジスティック回帰により評価した。回答者の77%はICALINに関心があるという結果が得られた。ICALINは病院選択の理由の6番目であった。ICALINが低い場合、24.1%は入院を拒否し、54.9%は家庭医に助言を求めると回答した。社会人口学的な要因は、患者の態度に影響を及ぼさなかった。結論として、今回の調査から、患者は感染制御調査書のスコアが不良であることに注目していることが示された。多くの患者がこの調査書の解釈について家庭医を頼っているため、この問題に関する家庭医とのコミュニケーションがさらに必要である。
サマリー 原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
患者インタビューを含めた感染予防策の施設評価が、患者の病院選択にどのように影響したかという分析である。消費行動に医療の質がどのように影響するのか? 治療成績だけでなく、医療の質の一部としての感染予防の位置づけが明確化しようとしている。

同カテゴリの記事

2009.04.30

Risk factors for colonisation of newborn infants during an outbreak of extended-spectrum β-lactamase-producing Klebsiella pneumoniae in an intermediate-risk neonatal unit

2021.03.31

Knowledge, perceptions and experiences of nurses in antimicrobial optimization or stewardship in the intensive care unit

 

J. Padigos*, S. Reid, E. Kirby, J. Broom

*Sunshine Coast University Hospital, Australia

 

Journal of Hospital Infection (2021) 109, 10-28

 

JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ