英国の医学部学生に対する専門教育のためのコンセンサスに基づく全国的な抗菌薬適正使用支援コンピテンシーの開発★
Development of consensus-based national antimicrobial stewardship competencies for UK undergraduate healthcare professional education
M. Courtenay* , R. Lim, E. Castro-Sanchez, R. Deslandes, K. Hodson, G. Morris, S. Reeves, M. Weiss, D. Ashiru-Oredope, H. Bain, A. Black, J. Bosanquet, A. Cockburn, C. Duggan, M. Fitzpatrick, R. Gallagher, D. Grant, J. McEwen, N. Reid, J. Sneddon, D. Stewart, A. Tonna, P. White
* Cardiff University, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 245-256
背景
医療専門家は、患者・医薬に関連する一連の適正使用支援活動に関与するため、抗菌薬適正使用支援について理解し取り組むことが重要である。医学部学生への教育は、医療専門家としてこれらの役割や活動に向けて準備させる絶好の機会となる。
目的
医学部学生に対する専門教育に適した共通の抗菌薬適正使用支援コンピテンシーに関する英国内のコンセンサスを得ること。
方法
2 段階のオンライン調査からなる修正デルファイ法により、看護師・助産師・薬剤師・理学療法士・足治療師の教育と実践における処方と薬剤管理の専門知識、ならびに抗菌薬の処方と適正使用支援の専門知識を持つ英国内の 21 名からなるパネルメンバーを招いた。2017 年 10 月から 12 月にデータを収集した。
結果
参加者 21 名が専門家パネルのメンバーとなることに同意し、そのうち 19 名(90%)が 1 回目の質問票に回答し、17 名(89%)が 2 回目の質問票に回答した。コンピテンシーに関する包括的な 6 つの記述(6 領域に細分)、ならびに医療専門家による抗菌薬適正使用支援に必須の 55 項目の説明指標に関してパネリストのコンセンサスが得られ、一貫して高水準の合意に達した。
結論
コンピテンシーに関する記述とそれに関連する説明指標において一貫して高水準の合意に達したことから、このコンピテンシーの枠組みは、医学部学生に対する専門教育、ならびに抗菌薬適正使用支援の理解と取り組みが重要となる医療提供をサポートする新たな臨床上の役割を担う従事者に対する教育を方向付けるために使用すべきである。コンピテンシーは基礎教育の到達目標であるが、さらに継続的な教育を目的として使用できる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
デルファイ法は専門家の意見をアンケート形式で集め、それを繰り返すことで意見集約する方法である。社会人になってからではなかなか修正が効かない。学生の頃に王道ともいえる抗菌薬適正使用に関する知識と技術を取得して実臨床に望む医師を育てることが重要である。
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