メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症の低減を図るための国内戦略に関する日本と英国の比較

2018.11.24

Comparison of national strategies to reduce methicillin resistant Staphylococcus aureus infections in Japan and England


S. Mizuno* , M. Iwami, S. Kunisawa, N. Naylor, K. Yamashita, Y. Kyratsis, G. Meads, J.A. Otter, A.H. Holmes, Y. Imanaka, R. Ahmad
* Kyoto University, Japan
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 280-298
背景
医療関連感染に対する国の対応は高所得国の間でも異なるが、背景因子に基づく比較可能性を分析することにより、介入方法の転用の可能性を評価することができる。
目的
日本と英国におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin resistant Staphylococcus aureus;MRSA)に対処するための国内レベルのアプローチから教訓を得ること。
方法
疫学的傾向と政策介入を比較する縦断的分析(2000 年から 2017 年)。感染症予防管理対策、サーベイランス、抗菌薬適正使用支援介入に関する 441 のテキストソースのデータを系統的に分類した。(a)種類:必須要件、推奨、または全国的キャンペーン(b)方法:制限的介入、説得的介入、本質に対する構造的介入(c)実施のレベル:マクロ(国)、メソ(組織)、ミクロ(個人)レベル。医療組織構造やメディアの役割も評価した。
結果
英国では、MRSA 血流感染症の報告数の顕著な減少を達成している。日本では減少したものの、MRSA は依然として主要な感染症である。両国とも薬剤耐性大腸菌(Escherichia coli)の出現により新たな脅威に直面している。英国では、国家的な義務的介入と構造的介入に焦点を置き、これらの介入は成果に基づく動機づけと罰則のメカニズムの組み合わせ、ならびに院内の集学的感染予防管理対策チームによりサポートされている。日本では、(義務的ではなく)推奨による介入と主に説得的介入に焦点を置き、介入はプロセスに基づく動機づけと任意のサーベイランスによりサポートされている。日本における開発領域には、専用のデータ管理支援の提供、医療従事者と公衆に向けた国内キャンペーンの実施が含まれる。
結論
政策介入は、地域の疫学的傾向に対応している必要があるが、医療システム、文化、公衆の期待の範囲内で許容できる。今後の感染症や経済的な問題に対して持続可能かつ柔軟なシステムを策定するために、国際比較による教訓は、介入の適切な組み合わせについて情報をもたらす一助となるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
英国と日本の研究者による日英の感染症に関する国家戦略の比較を行った論文である。表やグラフを読む際は、医療制度の違い、データ収集方法の違いなどから、直接比較が難しいことを理解して読む必要があると思われた。

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