手指衛生改善の世界的な進捗状況:WHO 手指衛生自己評価フレームワークを用いた 2 回の調査★

2018.10.19

Global hand hygiene improvement progress: two surveys using the WHO Hand Hygiene Self-Assessment Framework


C. Kilpatrick*, E. Tartari, A. Gayet-Ageron, J. Storr, S. Tomczyk, B. Allegranzi, D. Pittet
*World Health Organization, Switzerland
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 202-206
世界保健機関(WHO)は、2011 年および 2015 年に手指衛生自己評価フレームワーク(HHSAF)を用いて世界規模の調査を 2 回実施した。2011 年には 69 か国から 2,119 の医療機関が参加し、2015 年には 91 か国から 807 の医療機関が参加した。合計で、86 施設が両方の調査において結果を提出した。全体的なスコアは 335.1(標準偏差[SD]7.5)から 374.4(SD 90.5)に有意に増加した(P < 0.001)。WHO 地域でみると、東地中海、欧州および西太平洋の各地域でスコアがすべて有意に改善した(P < 0.01)。この結果は、世界的な手指衛生改善の取り組みにおける現状を示すものであり、施設における進捗状況の概要を示し、使用された評価ツールの価値を強調している。
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監訳者コメント
手指衛生自己評価フレームワーク(HHSAF)は、システム変更(一般病床で 10 床に 1 手洗いシンクかつ集中治療系では 1 床に 1 手洗いシンク、ペーパータオルを全シンクに設置など)、教育と訓練(手指衛生の教育訓練は、全員新規採用者に義務化し、全職員は年に1回など)、評価と結果還元(消毒剤や液体石鹸の消費量モニタリング、手指消毒剤の消費量が 1,000 患者あたり 20 L 以上、遵守率などの結果を半年に 1 回報告など)、現場での手指衛生ポスター掲示(手指衛生すべき場面や手順のポスター掲示など)、施設の安全文化(施設の管理者の積極的関与や手指衛生推進チームの設置など)5 項目、各 100 点で合計 500 点からなる評価システムで、合計点数で手指衛生の自施設での実施状況を評価することができる。地域別では、アフリカ地域を除く地域でこの 4 年間で改善されている。同じ評価方法で実施される世界的規模の調査は他になく、このデータがベンチマークとなる点でも非常に意味のある論文である。2019 年に次回の調査がおこなわれる。なお、HHSAF およびそれに関連する資料は、http://www.who.int/infection-prevention/tools/hand-hygiene/en/ を参照されたい。

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