repetitive element palindromic PCR 法を用いた院内におけるバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の迅速モニタリング
Rapid monitoring of vancomycin-resistant Enterococcus faecium in hospital departments by repetitive element palindromic polymerase chain reaction
F. Froeschen*, M. Gajdiss, J. Uebele, A. Meilaender, A. Hoerauf, M. Exner, E. Molitor, G. Bierbaum, S. Engelhart, I. Bekeredjian-Ding
*University Hospital Bonn, Germany
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 208-217
背景
現在、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)による院内感染が増加しており、検出法および衛生対策の改善が必要とされる。医療従事者の衛生対策遵守のモニタリングには、地域での疫学情報が重要である。
目的
VRE の迅速分子タイピングのための半自動 repetitive element palindromic (rep) -PCR 法を評価することである。
方法
1 年の観察期間に VRE 初代分離株を収集し、rep-PCR 法により後向きにタイピングを実施した。VRE 感染率が高い 2 つの部門および全身性 VRE 感染症のリスクが高い患者由来の分離株で分子タイピングを実施した。タイピングの結果は、患者の移動に関する時空間的情報、VRE 検査結果、および multi-locus sequence typing(MLST)の結果と相関した。
結果
1 部門内の VRE 分離株の約 70%が類似クラスターに分類できた。VRE の拡散はそれぞれの部門内に限定された。病院の地理的管轄区域内で VRE 流行株が拡散したというエビデンスはなかった。本研究の結果は、部門レベルでの rep-PCR タイピングの有用性を立証するものである。とはいえ、類似性を求めるために Diversilab® の閾値 ≧ 98%を適用する必要があり、伝播の疑いは vanA /B 遺伝子タイピングおよび患者の時空間的接触に関する情報の集積によって確認する必要があった。MLST により結果が立証された。
結論
優勢に検出されたバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)の拡散は部門レベルに限定され、病院内で広範囲に伝播したというエビデンスはなかった。VRE 伝播の可能性を迅速に検出するために、十分に標準化され、妥当性が確認された(半)自動 rep-PCR 法が有用である。しかし、伝播の疑いは臨床・微生物学的パラメータにより確認する必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
VRE を対象とした場合、Diversilab を用いた rep-PCR は分別能が低いことが指摘されていた。本研究では 1,200 床の大規模病院で 1,300 株を超える VRE が検出される中、疫学的な調査、微生物学的な解析対象設定、va 遺伝子・MLST・rep-PCR による解析が包括的に行われ、閾値 ≧ 98%として rep-PCR の分別能を上げる必要性が明らかになった。大規模発生を解析していく際には、手間・コストが限られている中、手法の妥当性に配慮しながら複数の方法を使っていかねばならないが、本研究はその意味でも貴重な参考になると思われる。
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