マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法を用いた AmpC β- ラクタマーゼ産生グラム陰性菌の検出★★
Detection of AmpC β-lactamase-producing Gram-negative bacteria by matrix-assisted laser dsorption/ionization time-of-flight mass spectrometry
C. Li*, S. Ding, Y. Huang, Z. Wang, J. Shen, H. Ling, Y. Xu
*Anhui Medical University, China
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 200-207
背景
AmpC 産生グラム陰性菌種の迅速検出は患者ケアに有用である。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI-TOF MS)は、抗菌薬とその分解産物の分子構造を解析することにより、菌種のβ- ラクタム系抗菌薬耐性を判定する新手法である。
目的
MALDI-TOF MS を用いた AmpC 産生グラム陰性菌の検出について試験するとともに、その方法が診療で使用可能かどうかを解明することである。
方法
菌種の表現型解析および遺伝子配列解析により計 105 菌種を検出した。耐性機序が特定されたAmpC 産生 69 菌種とAmpC 非産生 36 菌種について試験した。セフォタキシム(0.50 mg/mL)、セフタジジム(0.25 mg/mL)、セフトリアキソン(0.50 mg/mL)、セフェピム(0.50 mg/mL)、セフォキシチン(0.25 mg/mL、0.50 mg/mL)それぞれを含有する異なる反応緩衝液(10 mM NH4HCO3/0.005%ドデシル硫酸ナトリウム[pH 8.0])中で細菌を培養した。混合液を 30、60、90、120、240 分間の培養後、13,000 g で 2 分間遠心分離し、その上清をMALDI-TOF MS により解析した。抗菌薬の加水分解ピークと脱カルボキシル化ピークを同定した。
結果
90 分間培養した場合、加水分解されたセフォタキシムは 434 Da と 494 Da でピークを形成し、AmpC 産生菌種検出の感度は 85.5%(59/69)、特異度は 88.9%(32/36)であった。4 時間培養した場合、加水分解されたセフタジジムは 563 Da と 587 Da でピークを形成し、感度は 89.9%(62/69)、特異度は 94.5%(34/36)であった。加水分解されたセフトリアキソン(0.5 mg/mL)、セフェピム(0.5 mg/mL)、および 2 つの濃度のセフォキシチン(0.25 mg/mL、0.5mg/mL)について、解析可能なピークは同定されなかった。
結論
本研究では、 MALDI-TOF MS により AmpC 産生菌種を迅速に検出できることが確認された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
AmpC は、アンブラー分類のクラス C に属するβラクタマーゼで、セラチア、エンテロバクター、シトロバクターは染色体性に持ち、βラクタム薬の使用中に誘導がかかり AmpCが過剰産生し、3 世代セファロスポリンに耐性となるため注意が必要である。一方、クレブシエラなどの AmpC をもたない菌種でのプラスミド性 AmpC の検索は臨床的に極めて重要である。しかしながら、AmpC による耐性検出の CLSI 基準はなく、ボロン酸による阻止帯確認やホッジ試験など培地と試薬による方法が利用されている。本論文ではセフォタキシムとセフタジジムを使用して質量分析による AmpC 検出を実施し、これまでの培地を使用した方法と比較して、質量分析の機器さえあれば実施可能であり、時間および費用の削減にもなる有用な方法を提案している。しかしながら、感度(約 85 ~ 90%)と特異度(約 89 ~ 95%)においてさらなる改良の余地は残る。
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