待機的大腸手術を受ける患者における早期発症および晩期発症手術部位感染症の予測因子:多施設共同前向きコホート研究

2018.05.31

Predictive factors for early- and late-onset surgical site infections in patients undergoing elective colorectal surgery. A multicentre, prospective, cohort study


A. Gomila*, J. Carratalà, S. Biondo, J.M. Badia, D. Fraccalvieri, E. Shaw, V. Diaz-Brito, L. Pagespetit, N. Freixas, M. Brugués, L. Mora, R. Perez, C. Sanz, N. Arroyo, S. Iftimie, E. Limón, F. Gudiol, M. Pujol, on behalf of VINCat colon surgery group
*Hospital Universitari de Bellvitge, Institut d’Investigació Spain
Journal of Hospital Infection (2018) 99, 24-30
背景
手術部位感染症(SSI)は、欧州の急性期病院における医療関連感染症の主要な原因である。しかし、早期発症および晩期発症 SSI の発症におけるリスク因子は明らかにされていない。
目的
本研究では、大腸手術を受けた患者の大規模コホートにおいて、早期発症 SSI および晩期発症 SSI の予測因子を検討した。
方法
待機的大腸手術を受ける成人患者を対象に、病院 10 施設で前向きに追跡調査を行った(2011 年 から 2014 年)。患者を、早期発症 SSI、晩期発症 SSI、または感染症なし(SSI なし)の 3 グループに分けた。早期発症 SSI と晩期発症 SSI を定義するカットオフは 7 日(SSI 発症までの期間中央値)とした。早期発症 SSI と晩期発症 SSI について異なる予測因子を分析し、各グループを SSI なしの患者と比較した。
結果
患者 3,701 例中、320 例(8.6%)および 349 例(9.4%)がそれぞれ、早期発症 SSI および晩期発症 SSI を発症した。残りの患者には SSI はなかった。早期発症 SSI の患者はほとんどが男性で、大腸手術を受け、臓器・体腔 SSI を発症した一方、晩期発症 SSI の患者は化学療法または放射線療法を受けていることが多く、術後創部 SSI であった。男性(オッズ比[OR]1.92、P < 0.001)、American Society of Anesthesiologistsの身体状態 > 2(OR 1.51、P = 0.01)、機械的腸管処置の実施(OR 0.7、P = 0.03)およびストーマ作成(OR 1.95、P < 0.001)は早期発症 SSI を予測した一方、直腸手術(OR 1.43、P=0.03)、長時間の手術(OR 1.4、P = 0.03)および化学療法の既往(OR 1.8、P = 0.03)は晩期発症 SSI を予測した。
結論
本研究により、待機的大腸手術の前後 7 日における SSI の発症に関する明確な予測因子が明らかにされた。これらの因子は、各患者グループにおける特異的な予防策を確立する一助となり得る。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
待機的大腸手術を受ける患者の手術部位感染症発生要因を、早期発症と晩期発症に分けて検討した論文である。多変量解析を見ると、早期発症と晩期発症での予測因子の違いがあり、興味深い結果であった。

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