手術時におけるクロルヘキシジン石けんまたはポビドンヨードを用いた手洗い:即効性および持続性を高め、アルコール溶液の安全な代替手段を提供する新しい方法

2018.04.29

Surgical hand preparation with chlorhexidine soap or povidone iodine: new methods to increase immediate and residual effectiveness, and provide a safe alternative to alcohol solutions


R. Herruzo*, M.J. Vizcaino, R. Yela
*Autonomous University of Madrid, Spain
Journal of Hospital Infection (2018) 98, 365-368
背景
手術時の 4%クロルヘキシジン石けんおよび 10%ポビドンヨードの使用は、EN 12791 で規定されている基準を満たしていない。
目的
これらの生体消毒薬の即効性および持続性を高める可能性を検討すること。
方法
連続する 3 週間にわたり、ボランティアからなる 2 つの被験者群で、n- プロパノール、標準の 4%クロルヘキシジン石けんおよび 10%ポビドンヨードを検証した。生体消毒薬を使用する新しい方法は、4%クロルヘキシジン石けんまたは 10%ポビドンヨードを用いた標準的な擦式手洗いおよびすすぎを行った後、5%クロルヘキシジンまたは 10%ポビドンヨード含有溶液で消毒し、そのまますすがずに手袋を装着するというものである。即効性および持続性を評価するために検体を採取し、コロニー形成単位の対数減少率を解析した。
結果
t = 0 h 時点での殺菌効果において、n- プロパノールは標準の 4%クロルヘキシジン石けんよりも優れていた(P < 0.05)が、クロルヘキシジンを用いた新しいプロトコールは、標準の 4%クロルヘキシジン石けん(P < 0.01)および n-プロパノール(P < 0.05)よりも優れていた。t = 3 h の時点では同一の効果が認められた(持続性)。t = 0 h の時点で、n-プロパノールは標準の 10%ポビドンヨードよりも有意に優れていたが、10%ポビドンヨードを用いた新しいプロトコールは n- プロパノールよりも、有意でないものの優れていた。t = 3 h の時点では効果の有意な持続性は認められなかった。
結論
クロルヘキシジンを用いた新しいプロトコールは EN 12791 で規定されている基準を満たしていることから、アルコール溶液の安全な代替手段としてクロルヘキシジンを手術時の手洗いに使用できる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
「4%クロルヘキシジン石けんまたは 10%ポビドンヨードを用いた標準的な擦式手洗いおよびすすぎを行った後、5%クロルヘキシジンまたは 10%ポビドンヨード含有溶液で消毒し、そのまますすがずに手袋を装着する」方法の有用性について検討した論文である。消毒用エタノールを用いたラビング法と比較した際の有用性が知りたいところである。こうした検討は消毒効果だけでなく、手荒れや化学物質アレルギーなどの影響についても考察が必要であろう。

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