in-vitro バイオフィルムにおける緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の高濃度過酢酸消毒に対する耐性★★
Tolerance of Pseudomonas aeruginosa in in-vitro biofilms to high-level peracetic acid disinfection
A.B. Akinbobola*, L. Sherry, W.G. Mckay, G. Ramage, C. Williams
*University of the West of Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 162-168
背景
バイオフィルムは、汚染除去処理の過失を特定できない場合、可変式内視鏡の消毒失敗の一因として示唆されてきた。この説を検証するため、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の浮遊集合体およびバイオフィルム形成集合体に対する過酢酸の活性を評価した。過酢酸は可変式内視鏡の再処理で広範に使用されている消毒薬の一つである。
目的
緑膿菌バイオフィルムの高濃度過酢酸消毒に対する生存能力を検討すること。
方法
24、48、96 および 192 時間後の緑膿菌の浮遊細胞およびバイオフィルムの過酢酸に対する感受性を、レサズリンによる細胞生存率測定法および平板菌数計数法を用いて緑膿菌の生存能力を推定することにより評価した。また、緑膿菌バイオフィルムのバイオマスをクリスタルバイオレット法によって定量した。3.0 g/L のウシ血清アルブミン(BSA)の存在下で 5 ~ 30 ppm の濃度の過酢酸を用いて緑膿菌の浮遊細胞を 5 分間処理をした。また、緑膿菌のバイオフィルムも、様々な濃度の過酢酸(100 ~ 3,000 ppm)で 5 分間処理をした。
結果
緑膿菌の浮遊細胞は、20 ppm の過酢酸で根絶されたが、バイオフィルムは、時間の経過に伴い、過酢酸に対する耐性を示し、96 時間後のバイオフィルムは、2,500 ppm の濃度の過酢酸でのみ根絶された。
結論
96 時間後の緑膿菌のバイオフィルムは、2,000 ppm の過酢酸による 5 分間の処理後も生存した。この濃度は、一部の内視鏡用洗浄・消毒液で使用されている実用的な濃度である。このことから、可変式内視鏡の内腔にバイオフィルムが形成された場合、内視鏡の消毒ができない可能性があることが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
現在、高水準消毒薬としては、過酢酸、グルタラール、オルソフタルアルデヒド等が使用されている(海外では二酸化塩素、過酢酸添加過酸化水素も)。バイオフィルムを形成した菌は、バイオフィルムにより守られるため消毒剤抵抗性となることは以前から知られている。また、内視鏡を介した病院内感染は不適切な消毒洗浄が原因であり、内視鏡外壁の傷に付着した有機物あるいは管腔内に菌が付着しバイオフィルムを形成することにより、洗浄消毒が不完全となる。過酢酸といえども、十分に洗浄できずにバイオフィルム形成に至った場合には、通常使用する濃度の 100 倍でも緑膿菌は死滅しない。消毒前の十分な物理的洗浄による有機物の除去の重要性を改めて示している。
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