院内水道水汚染:従来および「抗菌」の排出口金具における緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の生存および持続
Contamination of hospital tap water: the survival and persistence of Pseudomonas aeruginosa on conventional and ‘antimicrobial’ outlet fittings
C.F. Hutchins*, G. Moore, K.-A. Thompson, J. Webb, J.T. Walker
*Public Health England, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 156-161
背景
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染は、院内蛇口汚染と関連付けられ、蛇口の排出口金具がバイオフィルムの住処となる可能性が強調されてきた。緑膿菌は、汚染された清掃用クロスを介して排出口金具に伝播する場合がある。提唱されている措置には、洗浄レジメンおよび排出口金具の代替デザインがある。
目的
汚染された清掃用クロスから従来の排出口金具および「抗菌/抗バイオフィルム」の排出口金具への緑膿菌の伝播を調査し、この汚染が持続し、さらに水道水汚染につながるかどうかを明らかにすること。
方法
緑膿菌に汚染したマイクロファイバークロス(108 cfu/mL)で 4 種類の排水口金具(1 つは従来のデザイン[OF-A]、残りの 3 つは「抗菌」および/または「抗バイオフィルム」として市販されているデザイン[OF-B、-C、-D])を拭いた。排水口金具を実験用給水システムに最長 24 時間取り付けた。培養によって生存状況を評価した。1つおよび複数の水の試料を採取し、緑膿菌を培養した。
結果
クロスから排水口金具に伝播した緑膿菌数の中央値は、5.7 × 105 cfu(OF-A)、1.9 × 106 cfu(OF-B)、1.4 × 105 cfu(OF-C)、および 2.9 × 106 cfu(OF-D)であった。24時間中にすべての排水口金具で細菌数が減少し、log 値の減少値は 3.5(OF-C) ~ 5.2(OF-B)であった(P > 0.05)。排水口金具の汚染直後に採取したすべての水試料で緑膿菌が認められ、細菌数は 10 cfu/100 mL 以上であった。OF-A から採取した水の汚染は、洗浄を継続しても持続した。OF-B から採取した水では、1回目の洗浄後以降、緑膿菌は検出されなかった。
結論
清掃用クロスの汚染によって、緑膿菌が排出口金具に伝播し、水道水の汚染につながる可能性がある。「抗菌/抗バイオフィルム」の排出口金具は、汚染の可能性を排除できないが、排水口から出る水が緑膿菌に継続的に汚染されることを防ぐと考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
抗菌/抗バイオフィルム製品の有効性を検証した論文である。「抗菌」などの言葉に惑わされず、それが実際にどのような効果があり、日常の感染対策にどのように活用できるのか、感染対策担当者として科学的な視点から関わる必要性を示唆する論文である。
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