同一患者に対して手袋使用の適応を伴う複数活動のための手袋着用手指の消毒
Disinfection of gloved hands for multiple activities with indicated glove use on the same patient
G. Kampf*, S. Lemmen
*Infection Control Science, Germany
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 3-10
ほとんどの手指衛生ガイドラインは、患者ケアにおいて手指消毒の適応が発生した時に手袋を交換すべきであると推奨している。複数の観察研究により、大部分の医療従事者は、連続的に手袋を着用している間に手指を全く消毒しないことが示されている。本記述的レビューの目的は、患者ケア時に同一患者において手袋使用の適応がある複数の活動のために、手袋を着用した手指を消毒することについて、潜在的な利益とリスクを評価することである。同一患者に対する複数の活動における手袋の連続した着用は多くの場合、特に短時間の間に多くの適応がある状況(例、麻酔科、救急治療室)において、汚染された手袋により無菌操作などの手順を実施する結果となる。さらに特記すべきこととして、手指衛生の遵守率は手袋を着用している場合に低下することが多い。これまでに、3 件の独立した研究により、手袋を着用した手指におけるコンタミネーション除去は、手袋を着用していない手指における場合と少なくとも同様に効果的であること、また最高 10 回の消毒後には通常、手袋の穿孔率は上昇しないことが示されている。新生児集中治療室に関する 1 件の研究では、同一患者に対するケア時に手袋を着用した手指の消毒を促すことで、晩期感染症および壊死性腸炎の発生率が有意に低下することが示されている。結論として、医療従事者における手袋を着用した手指の消毒は、患者ケアのエピソード全体に対して手袋使用が適応されている場合、および同一患者に対して複数の活動が実施された場合、伝播リスクを大幅に低下させる可能性がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
手袋の上からの手指衛生は禁止している。アルコールによる影響で手袋へのダメージを心配してのことである。アルコール系消毒薬で劣化しない手袋が出現すれば、この論文の主旨には合っているかも知れない。
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