アイルランドの病院の医師における手指衛生および擦式アルコール製剤を使用する手指消毒に対する態度と実践:2007 年と 2015 年の比較
Attitudes and practices of Irish hospital-based physicians towards hand hygiene and hand rubbing using alcohol-based hand rub: a comparison between 2007 and 2015
L.M. Kingston*, B.L. Slevin, N.H. O’Connell, C.P. Dunne
*University of Limerick, Ireland
Journal of Hospital Infection (2017) 97, 17-25
背景
手指衛生は、感染の予防および制御の実践において不可欠なものであり、医療関連感染症を大幅に減少させる。しかし、国際的なエビデンスでは、内科医師は遵守率が低いことが示唆されている。
目的
2007 年から 2015 年のアイルランドにおいて、病院勤務医を対象に手指衛生、特に擦式アルコール製剤を用いた手指消毒に関する実践と態度を比較、検討すること。
方法
2007 年に、大規模教育病院 1 施設における無作為に抽出された医師に、妥当性が確認されている質問票による郵便調査への回答を依頼した。2015 年に、最初の研究と同じ環境を含め、1 つの大学病院グループに勤務するすべての医師を対象に、オンライン調査を用いて同じ研究を再現して行った。データの解析は SPSS および Survey Monkey を用いて行った。
結果
主として肯定的で改善された態度および実践が認められ、患者と接触する前の手指衛生を遵守していた医師は 2007 年には 58%であったのに対し、2015 年には 86%であった。患者との接触後に遵守していた医師は、2007 年には 76%であったのに対し、2015 年には 91%であった。2015 年では、手指衛生のために擦式アルコール製剤を「ほとんど常に」用いていると報告したのは回答者の 39%にすぎなかった。しかし、この数字は 2007 年より 13.5%高かった。擦式アルコール製剤の使用に対する障害として挙げられたのは、皮膚科的な問題、受け入れ度や忍容性が低いこと、および利用が容易でないことなどであった。
結論
手指衛生ガイドラインに対する認識の高まりと管理の向上が、手指衛生の実践において望ましい影響を及ぼしたようである。しかし、それにもかかわらず、手指衛生の実践は依然として不十分であり、かなり改善の余地がある。2009 年に世界保健機関(WHO)の手指衛生ガイドラインが公表されて以降に達成された進歩に基づいて改善していくには、継続的および持続的な取り組みが必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
質問票の回答率は 2007 年が 43%だったのに比べ、2015 年は 15%だった。回答率の低さが手指衛生への関心を表しているように感じた。また、手指衛生を理解している医師、実践できていると考えている人の方が回答する傾向が高いのでは、とも思われた。
同カテゴリの記事
Assessment of the potential for pathogen dispersal during high-flow nasal therapy
Estimating the incidence and 30-day all-cause mortality rate of Escherichia coli bacteraemia in England by 2020/21
High levels of hepatitis B virus DNA in body fluids from chronic carriers
405 nm light technology for the inactivation of pathogens and its potential role for environmental disinfection and infection control
Efficacy of chlorine dioxide disinfection to non-fermentative Gram-negative bacilli and non-tuberculous mycobacteria in a hospital water system