Korean National Healthcare-associated Infections Surveillance System(KONIS)の検証:集中治療室モジュールの報告

2017.08.31

Validation of the Korean National Healthcare-associated Infections Surveillance System (KONIS): an intensive care unit module report


Y.G. Kwak*, J.Y. Choi, H.M. Yoo, S-O. Lee, H.B. Kim, S.H. Han, H.J. Choi, S.R. Kim, T.H. Kim, H.K. Chun, H-S. Koo
*Inje University Ilsan Paik Hospital, South Korea
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 377-384
背景
ナショナルサーベイランスのデータは、サーベイランスプログラム内の方法論的問題や、データの質の問題を特定するために、検証されるべきである。
目的
Korean National Healthcare-associated Infections Surveillance System(KONIS)の医療関連感染症(HAI)発生率データの妥当性を検証すること。
方法
参加病院 81 病院のうち 12 病院(14.8%)の 2014 年 1 月から 3 月までの集中治療室の記録を検討した。検証チームは、2014 年 8 月から 9 月に対象病院への 1 日訪問を実施し、診療録 406 件 をレビューした。この中では 110 例の患者から 114 件のHAI の報告(尿路感染症[UTI]34 件、血流感染症[BSI]57 件、肺炎 23 件)があり、296 例では HAI の報告がなかった。レビュー実施者が行った HAI 診断を参照の基準とみなし、不明確な症例では KONIS 運営委員会が診断を確認した。
結果
UTI、BSI、肺炎の感度はそれぞれ、85.3%、74.0%、66.7%、特異度はそれぞれ、98.7%、99.1%、98.7%であった。陽性的中率はそれぞれ、85.3%、94.7%、78.3%、陰性的中率はそれぞれ、98.7%、94.6%、97.7%であった。肺炎に対する感度は UTI および BSI のものよりも低かった。KONIS 参加病院は、HAI ではない病態を報告する頻度は低かった。本研究のBSI に対する感度は、2008 年および 2010 年に実施された KONIS 検証研究での感度よりも低かった。
結論
KONIS のデータはおおむね信頼性が高いが、BSI に対する感度は低下を示した。本研究により、サーベイランスデータの正確性を維持するには、継続的な検証およびサーベイランス・スタッフの継続的研修の必要性が示されている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
ナショナルサーベイランスにおいて、データの質の担保・保証は、非常に重要かつ大きな課題である。今回は ICU を対象としたサーベイランスについて、立ち入り調査を行い、専門家が判断した HAI とデータとを比較し、質的な妥当性を評価したが、データを提供する医療機関側のスタッフが特に鍵になっていた。本邦のナショナルサーベイランスも医療機関およびスタッフの自発的努力に負う部分が大きく、同様の課題を抱えている。非常に参考になる内容といえよう。

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