腸管細菌叢と B 型肝炎ウイルス誘発性慢性肝疾患:糞便細菌叢移植療法への影響
Gut microbiota and hepatitis-B-virus-induced chronic liver disease: implications for faecal microbiota transplantation therapy
Y. Kang*, Y. Cai
*Kunming University of Science and Technology, China
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 342-348
B 型肝炎は世界的に極めてよくみられる感染症の一つである。慢性 B 型肝炎ウイルス(HBV)キャリアは世界で 3 億 5,000 万人に上ると推定されている。肝臓は胆管を介して小腸と接続し、肝臓で生成された胆汁は胆管によって腸管に運ばれる。胃腸を出た血液のほぼすべてが必ず肝臓を通過する。ヒトの腸には多種多様な微生物が在住し、「腸内細菌叢」と総称される。腸内細菌叢は、宿主の代謝プロセスおよび免疫調節に重要な役割を果たし、宿主の発育および生理機能(臓器の発達)に影響を及ぼす。腸内細菌叢の変化は肝疾患に伴う現象としてよくみられる。腸内細菌叢の変化は、HBV による慢性肝疾患の進行の誘発および促進に重要な役割を果たし、腸内共生細菌のうちある特定の種は、HBV によって誘発される慢性肝疾患の進行において病原的または保護的役割のいずれかを果たすと考えられる。したがって、腸内細菌叢は、HBV 誘発性慢性肝疾患の予防または管理の創意豊かな標的となる可能性があり、糞便細菌叢移植(FMT)が今後、HBV 誘発性慢性肝疾患の有用な治療法となるかもしれない。しかし、この分野で得られるデータは依然として限りがあり、関連のある科学的研究が始まったばかりである。新技術によって、腸内細菌叢の系統的研究が可能になり、その構成および病理学的ばらつきに関して得られる情報が増えてきている。この総説では、腸内細菌叢と HBV 誘発性慢性肝疾患との関係に関する最先端の研究および FMT 療法の今後の展望についてまとめている。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
健常人の便を移植する糞便移植は難治性・再発性 Clostridium difficile 感染症の治療として開始された。現在では腸内細菌叢が様々な疾患の寛解・増悪因子になっていることが知られているがそれが疾患の原因なのか結果なのかははっきりしていない。また糞便移植のメリットやデメリットもよく分かっていない。腸内細菌叢および糞便移植に関する研究はまだ始まったばかりである。
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