中心ライン関連血流感染症の発生率を低減するためのグルコン酸クロルヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアナイドによるディスクドレッシング:無作為化対照実施可能性試験(CLABSI試験)

2017.07.31

Chlorhexidine gluconate or polyhexamethylene biguanide disc dressing to reduce the incidence of central-line-associated bloodstream infection: a feasibility randomized controlled trial (the CLABSI trial)


J. Webster*, E. Larsen, N. Marsh, A. Choudhury, P. Harris, C.M. Rickard
*Royal Brisbane and Women’s Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 223-228
背景
中心ライン関連血流感染(CLABSI)の予防を目的とした複数の抗菌薬含浸ディスクが市販されているが、どのディスクが最も効果的であるかは不明である。
目的
2 種類の抗菌薬含浸ディスクについて CLABSI 予防における実施可能性および安全性を比較・検討すること。
方法
929 床の 3 次紹介病院において単一施設並行群間無作為化対照試験を実施した。中心カテーテルの末梢留置を要する入院患者を、グルコン酸クロルヘキシジンまたはポリヘキサメチレンビグアナイドの含浸ディスクドレッシング群に無作為化した。ドレッシングは 7 日ごとに、または臨床的に必要な場合はより短い間隔で交換した。患者に対し、カテーテル抜去または退院まで追跡調査を行った。実施可能性の評価項目は、登録されたうちで適格となり得る参加者の割合、プロトコール逸脱の割合、追跡不能となった患者の割合とした。臨床評価項目は、CLABSI 発生率、盲検化された感染制御担当者による診断、原因を問わない血流感染症、製品関連の有害事象とした。
結果
スクリーニングを受けた患者 143 例中 101 例(71%)が適格であった。5 例(3.5%)は参加を拒否した。無作為化後に1 例が除外された。グルコン酸クロルヘキシジンの 2 例(2%)でプロトコール逸脱が発生した。追跡不能となった患者はいなかった。3 例(3%)で血流感染症が発生し、2 例(2%)で CLABSI が確認され(各群 1 例)、1 例で粘膜バリア損傷に関連する血流感染症が確認された。合計で 1,217 デバイス日について試験が行われ、結果として CLABSI 発生率は 1,000 カテーテル日あたり 1.64 であった。グルコン酸クロルヘキシジン群の 1 例(1%)でディスクに関連した有害事象が発生した。
結論
ポリヘキサメチレンビグアナイドを含有したディスクドレッシングは、カテーテル留置部位での感染症予防において安全に使用することができる。ポリヘキサメチレンビグアナイドとグルコン酸クロルヘキシジンを比較するための十分な検出力を持つ試験は実施可能である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
薬剤(ポリヘキサメチレンビグアナイドとグルコン酸クロルヘキシジン)含浸ディスクの有用性を評価・比較するための十分な症例数、カテーテル挿入日、使用しなかった場合の 3 群に少なくとも分けて検討が必要である。

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