サウジアラビアの 3 次病院医療従事者におけるインフルエンザワクチン接種を受ける決定因子、動機および障壁
Influenza vaccine uptake, determinants, motivators, and barriers of the vaccine receipt among healthcare workers in a tertiary care hospital in Saudi Arabia
H.K. Haridi*, K.A. Salman, E.A. Basaif, D.K. Al-Skaibi
*General Directorate of Health Affairs, Saudi Arabia
Journal of Hospital Infection (2017) 96, 268-275
背景
医療従事者のインフルエンザ予防接種は、患者の安全、医療従事者自身の安全、病院の運営に必須である。しかし、強い推奨にもかかわらず、研究ではワクチン接種率が低いことが示されている。
目的
医療従事者においてインフルエンザワクチン接種率に影響する因子を評価すること。
方法
2015 年 10 月 1 日から 16 日まで、サウジアラビアのメッカにある King Abdullah Medical City 病院の医療従事者を対象として横断的調査を行った。無記名の自記式質問票を医療従事者に配布した。このなかには、人口統計学的特性、ワクチン接種、インフルエンザワクチンに関する知識、信念、姿勢および懸念についての質問があった。
結果
調査を受けた医療従事者 500 名のうち、447 名から有効な自記式質問票への回答が得られ、回答率は 89.4%であった。全体で、参加者の 88.3%が 2014 年から 2015 年にかけてのシーズンにワクチン接種を受けたと報告し、2013 年から 2014 年(61.2%)および 2012 年から2013年(54.5%)にかけてのシーズンよりも高率であった。ワクチン接種の主な理由は自己防護(81.5%)であったが、一方で医療従事者の73.4%が患者防護のため予防接種を受けたと報告した。予防接種を避ける主な理由は、ワクチンはインフルエンザを引き起こすという誤解(38.5%)とワクチンの効果への懸念(32.7%)であった。ロジスティック回帰分析により、以下の因子が医療従事者でのワクチン接種に独立して関連していることが明らかになった。ワクチンガイドラインに対する認識、次のシーズンにワクチン接種を受けようという意図、医師に比べて看護師や他の医療従事者、医療従事経験が長い、年齢が40歳を超える。
結論
義務的ワクチン接種政策採用後の 2014 年から 2015 年にかけてのシーズン中に良好なインフルエンザワクチン接種が達成された。医療従事者のワクチンに関する誤解を正す啓発プログラムが必要である。特に医師、若いスタッフ、新任者に焦点を当てた取り組みが求められる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
日本では近年医療施設勤務者のインフルエンザワクチン接種率は比較的高率を維持していると考えられる。ただその中でも接種を拒否する人が存在する。その理由の大半は、効果への懸念や金銭的負担と想像されるが、本研究のように「ワクチンでインフルエンザになる」と思って接種しない人も多数存在するのかもしれない。
ワクチン接種率を向上させるためには、一度「なぜ接種したくないのか」を確認すると、意外な問題が浮かび上がるかもしれない。
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