非都市部における医療関連クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症の負担

2017.04.30

The burden of healthcare-associated Clostridium difficile infection in a non-metropolitan setting


S.E. Bond*, C.S. Boutlis, W.W. Yeo, W.A.B. Pratt, M.E. Orr, S. Miyakis
*Wollongong Hospital, Australia
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 387-393
目的
医療関連クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)は、先進国において、依然として罹患および死亡の主な原因となっている。しかし、非都市部の多施設での医療関連CDI の負担に関するデータはほとんどない。本研究では、抗菌薬管理プログラム(antimicrobial stewardship programme;ASP)の導入を、医療関連 CDI の発生率との関連で検討し、医療関連 CDI が在院日数および病院費用に及ぼす影響を調べた。
方法
2010 年 12 月から 2016 年 4 月までの間に、オーストラリアのニューサウスウェールズ州にある非都市部地域医療圏の 9 つの病院で、医療関連 CDI を有する 16 歳以上の患者の介入前後比較研究を行った。介入は、臨床決定支援システムをサポートしている多施設 ASP を含み、その後、電子メールによる主治医への医療関連 CDI 症例のフィードバックを導入した。
主要評価項目
医療関連 CDI の発生率、在院日数と病院費用の比較、抗菌薬およびプロトンポンプ阻害薬の使用歴、および CDI 治療の適切性。
結果
医療関連 CDI の発生率は、介入前に、10,000 病床利用日あたり 3.07 例から 4.60 例に上昇し、介入後は 10,000 病床利用日あたり 4 例を維持した(P = 0.24)。在院日数の中央値(17 日間対 6 日間、P < 0.01)、および病院費用の中央値(19,222 豪ドル対 7,861豪ドル、P < 0.01)は、医療関連 CDI 症例( N = 91)のほうがマッチさせた対照者( N = 172)よりも有意に大きかった。重症の医療関連 CDI を有した患者の半数(8 例中 4 例)は、適切な初期治療(バンコマイシンの経口投与)を受けていなかった。
結論
医療関連 CDI は、在院日数および病院費用の増加を通じて、地方および農村部の公共医療サービスに有意な負担をもたらした。ASP の効果を高めるために、医療関連 CDI を標的とした介入を採用することも可能かもしれない。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
オーストラリアにおける医療関連 CDI のインパクトに関する研究である。すでに報告された多数の研究と同様に、医療関連 CDI による入院期間の延長やコストの増加が示された。医師の CDI に関する認知は依然として低く、ASP の介入効果が期待できそうだ。

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