糞便細菌叢移植は高い薬剤耐性を示す腸内細菌の保菌根絶のための選択肢となるか?

2017.04.30

Is faecal microbiota transplantation an option to eradicate highly drug-resistant enteric bacteria carriage?


B. Davido*, R. Batista, H. Michelon, M. Lepainteur, F. Bouchand, R. Lepeule, J. Salomon, D. Vittecoq, C. Duran, L. Escaut, I. Sobhani, M. Paul, C. Lawrence, C. Perronne, F. Chast, A. Dinh
*Versailles Saint-Quentin University, France
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 433-437
カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)またはバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)保菌は、公衆衛生上の重大な課題となっている。除菌のストラテジーは不十分である。本研究は、CRE または VRE の消化管保菌が認められた患者のコホートで、糞便細菌叢移植の影響を評価することを目的とした。8 例の患者を研究に含めた。内訳は、6 例が CRE、2 例が VRE 保菌者であった。糞便細菌叢移植の 1 か月後に、2 例で CRE 保菌が認められず、3 か月後には別の 1 例で VRE が検出されなかった。我々の経験では、このストラテジーは安全である。
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監訳者コメント
糞便細菌叢移植(FMT)後に薬剤耐性菌が便から検出されなくなった例や、便のメタゲノム解析で FMT 前に認めていた薬剤耐性遺伝子が FMT 後には消失した例が報告され、腸内細菌叢を変える FMT が耐性菌の保菌を抑制する可能性が指摘されている。本検討は少数例ながら CRE、VRE 保菌者での FMT の効果をみたものであるが、3 か月で約 4 割で除菌が確認された。症例数を増やし、FMT の方法を工夫した今後の検討が待たれるところである。

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