集中治療室における表面のバイオバーデンと高頻度接触部位の関連性の検討

2017.01.31

Examining the association between surface bioburden and frequently touched sites in intensive care


C.E. Adams*, J. Smith, V. Watson, C. Robertson, S.J. Dancer
*Hairmyres Hospital, NHS Lanarkshire, UK
Journal of Hospital Infection (2017) 95, 76-80
背景
救急患者の感染リスクは高い。患者付近の表面は、病原菌を含む可能性のある微生物学的汚染物質のリザーバとなる。
目的
集中治療室(ICU)における患者周辺部位の手指接触頻度と汚染レベルの関連性を明らかにすること。
方法
10床からなるICUの各ベッド周辺の 5 カ所について、微生物学的汚染物質(cfu/cm2)と黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のスクリーニングを10 か月にわたり毎月行った。選択部位は、点滴ポンプおよび心臓モニター、左右のベッドレール、ベッドテーブルであった。これらの部位への手指接触頻度の、調査であることを伏せた観察を 10 回、各 1 時間実施し、手指接触回数の平均を求め、微生物スクリーニングで得られた汚染物質レベルに対してモデル化した。
結果
ブドウ球菌属 10 種中 7 種が、特定部位の総汚染とともに(P = 0.005)認められ、同じ割合が最も接触頻度が高い 3 つの部位(ベッドレールとベッドテーブル)から認められた。総微生物汚染(> 12 cfu/cm2)を示した 4 カ所と手指接触回数平均に直線性がみられた(P = 0.08)。ベッドテーブルは最も多く触れられたが、汚染が最も多い部位ではなかった。ベッドテーブルへのアルコールゲル容器の習慣的設置が微生物数の減少につながった可能性があると考えられる。1 台のテーブルからゲル容器を除去することにより、再スクリーニング後、微生物汚染に対するゲル容器の抑制的効果が確認された(19%対 50%、> 12 cfu/cm2P = 0.007)。
結論
ICU の患者周辺の部位における表面のバイオバーデンは、スタッフおよび訪問者の手指接触頻度と関連している。このことは、高リスク医療環境における焦点を絞った衛生的な清掃の必要性を裏付ける。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
高頻度接触面における接触回数と実際の微生物汚染の程度の相関を証明した研究である。接触回数が増加するほど微生物汚染も高度になったが、最も接触回数が多かったベッドテーブルは汚染が少なく、その原因はアルコールゲルが設置してあったことではないかと考察している。高頻度接触面が実際に高度に微生物汚染していることや手指衛生、環境整備に関する院内教育に使える内容である。

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