クロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)に関連する壊死性腸炎アウトブレイク時の早産新生児における伝播パターンを全ゲノムシークエンシングを用いて検討する
Investigating transmission patterns among preterm neonates during an outbreak of necrotizing enterocolitis related to Clostridium butyricum using whole-genome sequencing C. Sartor*, Y. Mikrat, I. Grandvuillemin, A. Caputo, I. Ligi, A. Chanteloup, G. Penant, P. Jardot, F. Romain, A. Levasseur, F. Boubred, B. La Scola, N. Cassir *CLIN AP-HM Hôpitaux Universitaires de Marseille, France Journal of Hospital Infection (2024) 152, 21-27
背景
壊死性腸炎は、早産新生児における生命を脅かす極めて重度の後天性消化器疾患である。われわれは本稿で、フランス南東部の新生児センター 3 施設で発生した、早産新生児におけるクロストリジウム・ブチリカム(Clostridium butyricum)に関連する壊死性腸炎のアウトブレイクについて記述する。
方法
早産新生児におけるC.butyricum 関連壊死性腸炎の確定症例は、modified Bell 分類に基づく臨床徴候の存在、ならびに便サンプルからリアルタイム PCR または培養法により C. butyricum の同定が認められた場合と定義した。全ゲノムシークエンシング(WGS)による分離株の系統樹解析も実施した。
結果
2022 年 1 月 5 日から 27 日のあいだに、C. butyricum 関連壊死性腸炎の確定症例 10 例が同定され、内訳は新生児センター 1 が 5 例、新生児センター 2 が 4 例、新生児センター 3 が 1 例であった。新生児センター 1 における壊死性腸炎の発生率は 7.1%(70 例中 5 例)であった。便サンプルから検出された C. butyricum の陽性率は、アウトブレイク期間中(276 例中 37 例、13.4%)のほうが、非アウトブレイク期間中(369 例中 7 例、1.9%)よりも高かった一方、系統的スクリーニングの実施は維持された(P < 0.001)。系統樹解析からは、4 つのクラスター内で分離株間にクローン関連性が示された。2 つのクラスターには、異なる新生児センターに入院した新生児が含まれ、このことから、異なる新生児センター間で新生児が移動する際に C. butyricum 株が伝播したことが示唆される。
結論
C. butyricum 関連壊死性腸炎のこのアウトブレイクから、早産新生児のあいだにおける交差伝播が確認された。これには、双子や三つ子のきょうだいが含まれ、壊死性腸炎の症例とともに無症状の保菌者も認められた。殺芽胞剤を使用した接触保護策の実施後、3 か月の経過観察中に新たな症例は認められなかった。
監訳者コメント:
壊死性腸炎(NEC)の発生が Clostridium butyricum 感染と関連していることが、本論文で示されている。特に、複数の新生児集中治療室において、クロストリジウム菌株の乳児間での交差感染が確認されており、接触予防策や院内感染対策の強化が重要である。特に、新生児の転院時における感染制御の徹底が、NEC の予防に寄与すると考えられる。また、日本においても本菌による NEC は早くも 1990 年に報告されており、特定の病原性を持つ株との関連が指摘されているため、引き続き注意が必要である。
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