電気化学的活性化溶液を用いた自動化洗浄および消毒による、病院内の洗面台の U 字管におけるバイオフィルムおよび微生物汚染のリザーバ除菌★

2016.10.31

Elimination of biofilm and microbial contamination reservoirs in hospital washbasin U-bends by automated cleaning and disinfection with electrochemically activated solutions


J.S. Swan*, E.C. Deasy, M.A. Boyle, R.J. Russell, M.J. O’Donnell, D.C. Coleman
*Dublin Dental University Hospital, Ireland
Journal of Hospital Infection (2016) 94, 169-174
背景
洗面台の U 字管は、医療環境における微生物汚染のリザーバである。U 字管には常に水が溜まっており、微生物バイオフィルムが形成されている。
目的
塩水の電気化学的活性化により生成した 2 種類の溶液、すなわち洗浄作用を有する陽極消毒液(次亜塩素酸が主成分)および陰極消毒液(水酸化ナトリウムが主成分)を用いて、U 字管に対する効果的な自動化洗浄および消毒システムを開発すること。
方法
3 つの洗面台の U 字管をそれぞれ、5 週間にわたり週 1 回、手動により最初に陰極液で、次いで陽極液で5 分間満たした。次いで、1つの洗面台について、この過程を自動化したプログラムによるシステムを開発した。この U 字管には、3 か月にわたり週 1 回、5 分間の陰極液処置とその後の 5 分間の陽極液処置を 3 サイクル実施した。処置した U 字管と対照の U 字管について、自動化処置後に血液寒天培地(CBA)、R2A、PAS、および PA 寒天培地において、また手動処置後に CBA および R2A 培地において、細菌数を定量して確定した。
結果
平均細菌密度は、未処置の U 字管で本研究期間を通じてすべての寒天培地で 1 × 105 cfu/スワブ超で、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)が細菌数の約 50%を占めていた。手動による U 字管の電気化学的活性化溶液を用いた処置の場合、細菌数が有意に減少した(100 cfu/スワブ未満)(CBA でP < 0.01、R2A でP < 0.005)。同様に、電気化学的活性化溶液を用いた U 字管の自動化処置では細菌数が有意に減少し、CBA、R2A、PAS および PA での 35 サイクルにおける平均細菌数は、それぞれ2.1 ± 4.5(P < 0.0001)、13.1 ± 30.1(P < 0.05)、0.7 ± 2.8(P < 0.001)、および 0(P < 0.05)cfu/スワブであった。緑膿菌は処置を行ったすべての U 字管で除菌された。
結論
洗面台の U 字管に対する電気化学的活性化溶液を用いた自動化処置により、微生物汚染が一貫して最小化された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント食塩水を電気分解すると、陽極側に酸性水(HClOが主成分)と陰極側にアルカリ水(NaOHが主成分)が生成される。前者には殺菌作用が、後者には洗浄作用がある。手洗いシンクの排水管の U 字管は排水が溜まるため、緑膿菌を主体とする多数の細菌がバイオフィルムを形成して管壁表面に増殖定着している。U 字管の細菌が供給源となり、「逆行性」に手洗いシンクが汚染され、院内感染の原因となったとする報告がある。これまで手洗いシンクの U 字管内の環境整備は極めて煩雑で困難であったが、本論文では 2 種類の電解水を利用して、自動化することで効率的に U 字管内の細菌数を激減させた。手洗いシンク排水部分が、どの程度院内感染に寄与しているかは不明の部分もあり、さらなる検討が必要である。

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