教育病院におけるカルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌の積極的症例探索:陽性率および定着のリスク因子★★
Active case finding for carbapenemase-producing Enterobacteriaceae in a teaching hospital: prevalence and risk factors for colonization
K. Poole*, R. George, V. Decraene, K. Shankar, J. Cawthorne, N. Savage,W. Welfare, A. Dodgson
*Public Health England North West, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 125-129
背景
ここ 10 年間、カルバペネマーゼ産生腸内細菌科細菌(carbapenemase-producing Enterobacteriaceae;CPE)の陽性率が上昇している。基本的な感染予防および制御の実践により伝播リスクは低下するが、認識されていない保菌症例により伝播の潜在的リスクが生じる。
目的
CPE アウトブレイクが確認された大規模教育病院内で CPE の陽性率を推定し、定着に関連するリスク因子を探索すること。
方法
これまで CPE 陽性を示していなかった入院患者すべてに検査を実施した。人口統計学的データおよび病院エピソードデータも、先立つ 24 時間における抗菌薬およびプロトンポンプ阻害薬(PPI)の使用データと共に収集した。
結果
本試験で、CPE 陽性の 70 症例(26 例は新たに特定、44 例は既知)および CPE 陰性の592 症例を特定し、両者を合わせて陽性率は 11%であった(95%信頼区間[CI]8 ~ 13)。定着のリスク因子として薬剤(抗菌薬および PPI の使用)、過去の入院、民族性、入院期間を評価したが、いずれも CPE 定着に関連する独立変数ではないことが判明した。ロジスティック回帰を用いると、年齢(オッズ比[OR]1.03、95%CI 1.01 ~ 1.07)と抗菌薬使用(OR 2.55、95%CI 1.08 ~ 6.03)のみが CPE 定着と有意に関連するリスク因子であった。
結論
CPE アウトブレイクが確認された急性期病院の入院患者のうちで CPE 陽性率を推定することによって、本試験はエビデンス基盤の一部となった。症例探索の実践は実施可能で、多数の新たな症例が特定できた。標本サイズは小さいが、加齢および検査当日の抗菌薬処方が CPE 定着と有意に関連していた。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
高齢者医療で入退院を繰り返していると、複数の医療機関をまわるうちに様々な耐性菌を獲得する場合がある。CPE もその 1 つとしてエントリーされることを裏付けている。
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