ヒータークーラーユニット:心胸郭手術に不可欠の装置における汚染★★

2016.07.13

Heater–cooler units: contamination of crucial devices in cardiothoracic surgery


T. Götting*, S. Klassen, D. Jonas, Ch. Benk, A. Serr, D. Wagner, W. Ebner
*University Medical Center Freiburg, Germany
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 223-228
背景
マイコバクテリウム・キマイラ(Mycobacterium chimaera)感染症のいくつかの症例が、心臓手術を受けた患者で最近報告されている。心臓手術において用いられる、いわゆるヒータークーラーユニットが病原体の増殖および播種のリザーバであることが疑われる。
目的
当院におけるヒータークーラーユニットの汚染状況を評価すること。
方法
装置からの種々の距離において、また手術台周囲の区域において、マイコバクテリアを対象とした空気サンプリングを行った。水関連病原体の代理パラメータとして、非発酵菌についても空気サンプリングを行った。
結果
ヒータークーラーユニットの水タンクから M. chimaera が検出された。装置の作動時に、装置の排気中、ならびに手術台の周囲の区域でも M. chimaera が検出された。作動時のヒータークーラーユニットからの種々の距離において、また手術台周囲の区域において、非発酵菌が検出された。装置の電源を切った場合は、培養結果は陰性のままであった。
結論
ヒータークーラーユニットからの排気は、開胸心臓手術を受ける患者への病原体伝播の経路である可能性がある。技術的な理由からヒータークーラーユニットの位置を変えることは難しいが、手術室からのヒータークーラーユニットの厳格な分離のみが、患者の安全を高めるようである。代理パラメータとして非発酵菌を用いることは、適時のリスク評価のための有効な選択肢と考えることができるであろう。ヒータークーラーユニットのデザインを、汚染される可能性を最小限に保つために変更すべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
人工心肺稼働時には冷温水槽による温度調節が必要になる。2015 年 1 月、日本体外循環技術医学会は本件に関連して安全性情報 No.16「手術室における冷温水槽など水路回路を備える装置の衛生管理」で公開されている(http://jasect.umin.ac.jp/safety/pdf/anzen16.pdf)。非結核性抗酸菌が栄養源の乏しい水の中で繁殖し、冷温水槽のコンプレッサーの振動等で発生したエアロゾル中にこれら汚染菌が混入することで手術環境中を汚染するリスクについて複数の報告があがっている。冷温水槽については、製造元より過酸化水素を保存剤として用いる一方、過酢酸あるいは次亜塩素酸ナトリウムによる消毒処理を定期的に設定している。しかしこの 2 工程あることがかえって混乱を生んでいる可能性がある(どちらか一方で他方を省くなど)。また、タンク内に水をいれたまま使用しないで器機を放置することが慣習化している場合も多く水の中で繁殖する細菌の汚染を助長している。さらにタンク間をつなぐチューブ内のバイオフィルムの付着にも注意が必要だ。

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