病院の水道設備における非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアに対する二酸化塩素消毒の有効性

2016.05.23

Efficacy of chlorine dioxide disinfection to non-fermentative Gram-negative bacilli and non-tuberculous mycobacteria in a hospital water system


M.-S. Hsu*, M.-Y. Wu, Y.-T. Huang, C.-H. Liao
*Far Eastern Memorial Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2016) 93, 22-28
背景
病院内の塩素消毒された水道水には、低濃度の非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアが含まれていることが多い。これらの水媒介病原体による院内感染症を予防する目的で、病院内での安全な水道水供給を行うための指標が必要である。
目的
病院の水道施設における二酸化塩素処理の、水道水中の非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアの濃度に対する有効性を評価すること。
方法
当施設は、1,000 床を擁する医療センターで、2棟の主要な建物(B1 および B2)から成る。B1 には 3 つの集中治療室(ICU)と移植病棟があり、ポリエチレン製の水道管を備えている。B2(対照)にはICUはなく、亜鉛めっきされた水道管を備えている。2012 年 4 月に、B1 の水道設備に二酸化塩素生成装置1個を設置し、設置前および設置後 8 回にわたり、B1 と B2 でサンプルを採取した。すべてのサンプルを培養して、非発酵グラム陰性桿菌および非結核性マイコバクテリアについて調べた。
結果
二酸化塩素濃度は温水の方が冷水よりも有意に低かった(P < 0.001)。二酸化塩素使用開始の 40 週間後、全体的な非発酵グラム陰性桿菌のコロニー数が有意に減少した(温水:160 ± 143 対 2 ± 4 cfu/mL、P < 0.001、冷水:108 ± 138 対 3 ± 7 cfu/mL、P < 0.001)。院内での検出頻度の高い非発酵グラム陰性桿菌、例えばシュードモナス(Pseudomonas)属菌およびステノトロホモナス(Stenotrophomonas)属菌などは、二酸化塩素消毒後 3 か月にわたり検出されなかった。スフィンゴモナス(Sphingomonas)属菌は持続的に検出されたが、コロニー数は低かった。非結核マイコバクテリアは、最初にサンプリングを行った箇所の 25%(12 カ所中 3 カ所)で検出されたが、二酸化塩素消毒の 2 週間後には検出されなかった。ICUでは、介入後の非発酵グラム陰性桿菌による院内感染の件数に全体的に変化はなかった。
結論
当院の水道設備に二酸化塩素消毒装置を追加したところ、冷水および温水設備における非結核性マイコバクテリアおよび非発酵グラム陰性桿菌の数が減少した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
病院の水道設備二酸化塩素消毒での消毒の効果については理解できたが、二酸化塩素を施設内水道配管系の水に使用することの安全性についての知見が乏しい。

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