関節形成術後手術部位感染症の退院後サーベイランスのための医療保険データベース

2016.02.28

Health insurance database for post-discharge surveillance of surgical site infection following arthroplasty


N. Le Meur*, L. Grammatico-Guillon, S. Wang, P. Astagneau
*French School of Public Health (EHESP), France
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 140-146
背景
手術部位感染症(SSI)サーベイランスは、治療および患者安全性の改善に重要である。多くの感染性事象が退院後に発現するが、大半の SSI サーベイランスシステムは病院に焦点を合わせている。
目的
退院後の患者治療軌跡を評価するために、退院データベースと National Health Insurance Cross-Schemes Information System(NHI-CIS)をリンクし、股関節または膝関節形成術感染症を追跡した。
方法
NHI-CIS データベース全体の 97 分の 1 をサンプリングした時系列データを用いて、後向き解析を実施した。2011 年 1 月 1 日から 2011 年 12 月 31 日に股関節・膝関節形成術を受けた患者は合計 1,739 例であった。股関節・膝関節形成術感染症で再入院した患者は、公開されている特定のアルゴリズムを用いて確認した。再入院しなかった股関節・膝関節形成術感染症患者は、外来診療の利用(看護師による介入、抗菌薬および包帯の購入)に基づく新規の追跡アルゴリズムを用いて確認した。
結果
調査した患者 1,739 例中 20 例(1.1%)は、股関節・膝関節形成術感染症で再入院した。股関節・膝関節形成術感染症事象 14 件(70%)は手術後 2 か月以内に発現し、2 件は患者の手術入院中に発現した。外来診療データから、さらに 10 件は手術後の 1 年間に股関節・膝関節形成術感染症の発現が疑われた。その後、股関節・膝関節形成術感染症の発現率は 1.76%と推定された(95%信頼区間 1.14 ~ 2.38%)。
結論
試験標本はわずかであったが、本研究は、退院後に発現した股関節・膝関節形成術感染症それぞれの事象を院内の情報システムのみでは追跡できないことを示した。今回の結果は、NHI-CIS データベースなど退院後サーベイランスのための自動的なルーチン手法の必要性を強調する。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
フランスでは、医療保健に関する研究のために使用できるデータベースシステム(SNIIRAM)があり、この研究は、そのデータベースからサンプリングされたデータ(EGB)を用いた退院後の SSI サーベイランスの可能性について検討したものである。日本でもレセプトデータを用いた検討は様々な分野で行われているが、その使用が公的機関による使用に限られているとはいえデータベース化されている環境はうらやましい。

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