糞便細菌叢移植における有害事象:文献レビュー★

2016.02.28

Adverse events in faecal microbiota transplant: a review of the literature


M. Baxter*, A. Colville
*Royal Devon and Exeter NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2016) 92, 117-127
背景
糞便細菌叢移植は、微生物多様性の改善を目的として提供者の糞便を腸内に注入することである。この施術は、近年、再発性クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)の治療において多大な関心を持たれている。現在、それに関する文献は小規模の症例シリーズや単独の症例報告がほとんどを占める。方法およびアウトカムの記録は標準化されていない。
目的
これまでに英文文献で報告されている糞便細菌叢移植の実施と関連した有害事象を示すこと。
方法
Medline および Embase のデータベースを検索し、糞便細菌叢が移植された論文を特定した。総説は除外した。全体で、1,555 例への糞便細菌叢移植使用が記述された 109 報を特定した。
結果
小規模のランダム化対照研究 3 件以外は、小規模のシリーズおよび症例報告のデータであった。糞便細菌叢移植の最も多い適応症は CDI(1,190 例)であり、残りの症例の大多数は炎症性腸疾患に糞便細菌叢移植を実施している場合であった。糞便細菌叢移植は、少数ながら過敏性腸症候群、代謝症候群、便秘にも実施されていた。有害事象はあまり見られず、多くは軽度で自己限定的なようであるが、菌血症、穿孔、死亡を含む重篤な有害事象も報告されている。
結論
糞便細菌叢移植による有害事象の大部分は、軽度、自己限定的で、事実上胃腸に関するもののようである。一部の例で、対照データがないため確かな関連性は確定されなかった。糞便細菌叢移植に関連したリスクを定性的および定量的に明らかにするために、標準化したランダム化対照試験が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
最近、さかんに腸管内に常在する細菌叢と疾病の関係が研究されている。感染症領域では CDI の治療が脚光を浴びており、臨床研究と基礎研究の発展により発症のメカニズムや改善の糸口となる菌種も明らかになると思われる。

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