フルオロキノロン制限(2007 年から 2012 年)によるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症への影響:分割時系列分析
Effects of fluoroquinolone restriction (from 2007 to 2012) on Clostridium difficile infections: interrupted time-series analysis
J.B. Sarma*, B. Marshall, V. Cleeve, D. Tate, T. Oswald, S. Woolfrey
*Northumbria Healthcare NHS Foundation Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2015) 91, 74-80
背景
抗菌薬管理は、医療関連感染症、特にクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)の減少のための取り組みにおける主要な要素である。著者らは、セファロスポリン、次いでフルオロキノロンの使用制限に成功した。当施設の CDI 症例数は、2007 年から 2008 年は 1 年あたり 280 例を超えるという高い流行レベルにあったが、2011 年から 2012 年には 72 例にまで減少した。
目的
フルオロキノロン制限の実施、およびその CDI への影響について述べること。
方法
本研究は、60 か月間のフルオロキノロン制限の前後の Poisson 分布モデルに基づく分割時系列分析である。
結果
2008 年 6 月には、100 病床日当たりのフルオロキノロン使用量は 1 日規定用量(DDD)で約 5 へ半減した。これに続いて CDI 症例数は大幅に減少し(率比[RR]0.332、95%信頼区間[CI]0.240 ~ 0.460)、その後は症例数が少ない月が持続した。その後の 2010 年 6 月には、フルオロキノロン使用量はさらに 100 病床日当たり約 2 DDD まで減少し、これに伴って CDI 発生率もさらに低下した(RR 0.394、95%CI 0.199 ~ 0.781)。単変量 Poisson モデルでは、CDI 発生率はフルオロキノロンの使用と関連していた(RR 1.086、95%CI 1.077 ~ 1.094)。
結論
セファロスポリン使用量がすでに少ない環境において、さらにフルオロキノロン使用量を減少させることによって、CDI 症例数が迅速かつ大幅に有意に減少したと結論される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
フルオロキノロン系薬は静注よりも経口薬で使用されることが多いが、経口フルオロキノロン系薬に対する介入を行っている病院では日本では少ないだろう。
Clostridium difficile 感染症のリスク因子としてはクリンダマイシンの使用が有名であるが、本論文はフルオロキノロン系薬の使用制限に伴う C. difficile 感染症の減少を示したものである。同じ号には同一著者によりフルオロキノロン系薬の使用制限によるキノロン耐性大腸菌および ESBL 産生大腸菌の減少が報告されている。これらの研究結果は日本における ASP の戦略に一石を投じるものといえよう。
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