医療従事者、患者、および面会者の高頻度接触表面および相互接触表面への手指接触の評価★
Hand-touch contact assessment of high-touch and mutual-touch surfaces among healthcare workers, patients, and visitors
V.C.C. Cheng*, P.H. Chau, W.M. Lee, S.K.Y. Ho, D.W.Y. Lee, S.Y.C. So, S.C.Y. Wong, J.W.M. Tai, K.Y. Yuen
*Queen Mary Hospital, Hong Kong SAR, China
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 220-225
背景
医療従事者および面会者は、患者の身体への直接接触時とは異なり、患者の環境への接触後の手指衛生実践を怠ることが多い。病院環境内の物品への接触により、病原体伝播のリスクが増加すると考えられる。
目的
患者、医療従事者、および面会者による病院環境内のあらゆる物品への手指接触回数を測定した。
方法
急性期病棟の 6 床単位の病室で診療日 33 日間にわたり、人と物品とのすべての接触エピソードを直接観察し、記録した。高頻度接触物品、ならびに医療従事者、患者、および面会者の二者または三者による接触頻度が高い相互接触物品の分析を行った。
結果
合計で、66 観察時間中に 1,107 人エピソード※および 6,144 接触エピソード※※を観察した(1 時間あたり平均 16.8 人エピソード、93.1 接触エピソード)。高頻度接触物品の上位 10 点のうちの 8 点、すなわちベッドサイドレール、ベッドサイドテーブル、患者の身体、患者のファイル、リネン、ベッドカーテン、ベッドフレーム、およびロッカーは、医療従事者、患者、および面会者による相互接触が観察された。1 時間あたりの接触エピソードはベッドサイドレールが 13.6(平均値)で首位であり、次いでベッドサイドテーブル(1 時間たり 12.3 接触エピソード)であった。患者の身体への接触を参照基準とした場合、医師および看護師によるベッドサイドテーブル(それぞれの率比 1.741、1.427)および患者のファイル(それぞれの率比 1.358、1.324)への接触は、患者の身体への接触と比較して高頻度であり、さらに看護師はベッドサイドレール(率比 1.490)への接触も患者の身体への接触より多かった。
結論
患者の環境は、その多くに医療従事者、患者、および面会者による高頻度接触および相互接触が認められるため、院内感染伝播の連鎖の一部であると考えられる。したがって、手指衛生教育、環境消毒、およびその他のシステムの変更に際しては、高頻度接触物品および相互接触物品の重点化を図るべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
本論文は、患者環境における高頻度に汚染される可能性のある場所を特定したという事実のみの報告である。手指が頻回に触れる「高頻度接触面」は、院内感染の供給源となることから、環境整備の重要性が強調されている。「厚生労働省通知『医療機関等における院内感染対策について』(平成 23 年 6 月 17 日医政指発 0617 第 1 号)」においても、「ドアノブ、ベッド柵など、医療従事者や患者が頻繁に接触する箇所については、定期的に清拭し、必要に応じてアルコール消毒等を行うこと」とされており、本論文の観察結果と一致する。しかしながら、汚染しているという事実と院内感染が広がるということの間に直接的な因果関係はなく、高頻度接触部位=微生物汚染=感染拡大の可能性、その予防策のためには環境消毒の徹底で、という短絡的な結論を出すべきではない。患者および周囲の環境は、人、特に医療従事者の手指が感染拡大に重要な役割を果たすことは周知の事実である。手洗いおよび手指消毒の遵守が、予防策のポイントとなることを再度強調したい。
監訳者注:
※人エピソード(person-episode):定義は、1 つの作業(task)を実行した人数とし、例えば 2 人が 1 つの作業を共同で実行した場合は 2 人エピソードとして計数した。1 人エピソードにおいて、複数回の接触エピソードが発生し得る。
※※接触エピソード(contact-episode):定義は、1 人と 1 物品との1回の相互作用とし、手指と物品とのあらゆる程度の接触を対象とした。1 人が 1 物品と間欠的に接触した場合は、複数回の接触エピソードとして計数した。
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