イングランドの病院における感染性下痢が疑われる患者の管理

2015.07.31

Management of patients with suspected infectious diarrhoea in hospitals in England


J. Buchanan, S. Wordsworth, L. O’Connor, G. Pike, A.S. Walker, M.H. Wilcox, D.W. Crook
*University of Oxford, UK
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 199-207
背景
感染性下痢が疑われる患者に対する分子検査およびゲノム検査は進展しつつある。広範な診断検査を実施する意義を評価するためには、感染制御部門や微生物学部門がこれらの患者の管理に際して行っている現行の業務について、理解することが重要である。しかしそのような点では、現行の業務に関する利用可能なデータはほとんどない。
目的
感染性下痢が疑われる患者の管理に関する、イングランド全域の感染制御担当者および微生物学検査担当者の現行の業務について述べること。
方法
イングランドの病院に対して、上述した現行の検査業務に関する 3 種類の質問票への記入を依頼した。質問票の作成にあたっては、オックスフォード大学病院グループの現行の業務を参考にした。
結果
41%の病院が、少なくとも 1 種類の質問票に回答した。職員の業務時間の多くの割合が、感染性下痢が疑われる患者の管理にあてられていた。職員の研修状況は全般的に良好であったが、文書化された方針の遵守率は 80%のみであった。清掃および隔離の方針は病院によってばらつきがあったことから、これらの方針はエビデンスに基づいていない、またはエビデンスの基盤が脆弱であることが示唆された。アウトブレイクの定義、管理、およびコホーティング方針については、一致度が高かった。便検査の実施の決定は主として患者特性に基づいて行われていたが、分離株のタイピングの施行頻度は高くなかった(クロストリジウム・ディフィシル[Clostridium difficile]感染症の検査を除く)。患者の管理に関連する業務上の複数の問題点が特定されるとともに、広範なゲノム診断検査には明確な要望があることが明らかになった。
結論
感染性下痢が疑われる患者の管理は、イングランドでは大きな負担となっている。上述のような検査業務の進展には、重要な臨床的・経済的影響があると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
英国における感染性のある下痢患者のマネージメントに関するアンケート調査をまとめた論文である。本調査は下痢患者における遺伝子検査の有用性を検討することが主目的であったが、その他に感染対策や治療においても病院間でばらつきがみられた、ということであった。具体的な治療内容や隔離方法なども調査されており、興味深い。

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