スコットランドにおける 2010 年から 2016 年のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染後の死亡率の傾向:後向きコホート・症例対照研究

2018.10.19
☆

Trends in mortality following Clostridium difficile infection in Scotland, 2010-2016: a retrospective cohort and case-control study


A. Banks*, E.K. Moore, J. Bishop, J.E. Coia, D. Brown, H. Mather, C. Wiuff
*NHS National Services Scotland, UK
Journal of Hospital Infection (2018) 100, 133-141
背景
スコットランドにおけるクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)の全国的サーベイランスにより、発生率の傾向を監視することができるが、死亡率の傾向は監視できない。
目的
2010 年から 2016 年のスコットランドにおける 15 歳以上の CDI 全症例について死亡率と関連する因子を評価すること。
方法
2010 年 から 2016 年のスコットランドにおける 15 歳以上の CDI 全症例を、入院および死亡のデータセットにリンクさせた。死亡率(30 日全死因)と関連する因子を評価するためにロジスティック回帰を用いた。入院症例サブセットおよびマッチさせた入院対照群の症例対照研究により、CDI が死亡率と入院期間に及ぼす影響を評価した。
結果
主に医療関連 CDI において、30 日全死因死亡率は 7 年間で低減した(20.5%から 15.6%、P < 0.001)。加齢、Charlson スコア高値、医療関連 CDI、ならびに肝疾患・心疾患・悪性腫瘍の併存は、より高い死亡率と関連した。ポリメラーゼ連鎖反応リボタイプとより高い死亡率との関連は認められず、リボタイプ 015 とリボタイプ 078 はより低い死亡率と関連していた。対照群と比較して、CDI 入院症例の 30 日死亡率の補正オッズ比(OR)は 2.67 であった(95%信頼区間[CI]2.42 ~ 2.94、P < 0.001)。症例群と対照群で死亡率は経時的に低減したのに対し、OR の傾向は比較的変化がなかった。CDI 発症により、感染日からの平均入院期間が 22.3%(95%CI 18.0 ~ 26.8%、P < 0.001)延長した。
結論
CDI は、30 日死亡率のほぼ 3 倍の増加と関連しており、感染日からの平均入院期間が 22.3%延長することで、医療資源への負担を増加させている。CDI 死亡率の低下傾向は、スコットランドの一般集団および病院の患者集団における全体的な死亡率改善による可能性がある。したがって、発生率の大幅な低下にもかかわらず、CDI は依然として深刻な医療問題である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療関連 CDI と死亡率との関係を統計処理により、解明しようとする試みである。国内でCDI による死亡例はほぼないと考えられるが、リスク因子としての加齢、Charlson スコア高値、医療関連 CDI、ならびに肝疾患・心疾患・悪性腫瘍の併存は同様な分析を行う際に参考になる。

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*Medical University of Lodz, Poland

Journal of Hospital Infection (2025) 162, 17-25