シュードモナス(Pseudomonas)属菌に汚染された内視鏡に曝露された患者に対するリスク評価に基づくアプローチ

2015.05.31

Risk-assessment-based approach to patients exposed to endoscopes contaminated with Pseudomonas spp.


P. Robertson, A. Smith, A. Mead, I. Smith, N. Khanna, P. Wright, P. Joannidis, S. Boyd, M. Anderson, A. Hamilton, D. Shaw, A. Stewart
*Glasgow Royal Infirmary, UK
Journal of Hospital Infection (2015) 90, 66-69
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に汚染された気管支鏡に曝露された患者は、シュードモナス(Pseudomonas)属菌の感染リスクが高い。曝露後リスクの管理および低減のための至適な方法については異論がある。本稿では、日常的なサーベイランスで検出された、1 台の内視鏡ウォッシャーディスインフェクターに起因する各種内視鏡 75 本の Pseudomonas 属菌による汚染後に実施した2段階のリスク評価について報告する。初回リスク評価により、潅注または生検に用いる内腔を有する 18 本の内視鏡が高リスクであると判定された。曝露があったことを患者を担当する臨床チームに伝達し、曝露された患者の臨床的リスク評価をさらに実施した。Pseudomonas 属菌感染に起因する合併症を発症した患者はなかった。
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監訳者コメント
緑膿菌汚染で汚染された気管支鏡を受けた患者の侵襲性感染症発症リスクは、①無菌部位からの洗浄・生検、②基礎疾患の有無に左右され、実施症例の9.25%に発生すると報告されている。本論文では定期的サーベイランスにより前向き調査を実施し、最終リンスに使用された水の汚染が判明した気管支鏡の使用状況に応じて、リスク評価している。この対応の中で重要なことは、高リスクと判定された症例に対しては、「曝露の可能性」を患者に開示し、曝露患者への告知後は経過を観察し、必要に応じて抗緑膿菌治療を行うこととしている。医療安全と感染対策の両面から、「患者への情報提供」は必要であるが、今後の課題である。

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