クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染予防のための欧州各国のガイドライン:定性的システマティックレビュー

2014.08.31

National European guidelines for the prevention of Clostridium difficile infection: a systematic qualitative review


M. Martin*, W. Zingg, E. Knoll, C. Wilson, M. Dettenkofer a on behalf of the PROHIBIT study group
*University Medical Center Freiburg, Germany
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 212-219
背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)は院内下痢症の最も頻度が高い起因菌であり、感染予防の重要なテーマの 1 つである。
目的
C. difficile 感染予防に関する欧州各国のガイドラインについて調査すること、それらのエビデンスの基盤となっている推奨項目について精査すること、および各国のガイドライン間および欧州疾病予防管理センター(ECDC)の指針との一致点について精査すること。
方法
欧州 34 か国の ECDC の医療関連感染サーベイランスの連絡窓口(National Contact Point)とその他の医療関連感染担当者に対して、オンライン質問票への回答と自国のガイドラインの提示を依頼した。英語、フランス語、またはドイツ語以外のガイドラインについては英語に翻訳した。2008 年の ECDC の指針を基準として主要項目のマトリクスを作成し、定性的分析を行った。評価プロセスは 2 名の評価者が独立して実施した。
結果
合計 34 名が質問票に回答し、合計 15 件のガイドラインの提示を受けた。34 か国中 6 か国(18%)は、自国のガイドラインの作成・改訂の基盤として ECDC の指針を使用したと回答した。各ガイドラインの対象と詳細度には大きなばらつきがみられた。推奨レベルが格付けされていたのは 6 件のガイドラインと ECDC の指針のみであった。格付け方式については、格付けカテゴリーの設定に大きなばらつきがみられた。さらに、各ガイドラインによって、同様の項目のエビデンスレベルが異なっていた。
結論
ECDC の指針は、現時点では各国の C. difficile 感染予防ガイドラインの作成・改訂に強い影響を及ぼしていない。ばらつきがみられる理由の 1 つとして、推奨事項を各国の状況に即したものにする必要があることが挙げられる。ガイドラインの作成に際して国際的に認められている指針を使用することは、ガイドラインの質改善に有用であると考えられる。実施状況の監視・監査に関する推奨があれば、これらのガイドラインはより有用なものとなるであろう。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
ECDC が 2008 年に作成した C. difficile 感染予防ガイドラインが、欧州各国でそれぞれ作成した C. difficile ガイドラインに与える影響が少ないことから、今後の ECDC のガイドラインの作成・改訂のあり方について議論した論文である。ただし欧州各国のガイドラインの大半は 2008 年かそれ以前に作成されているので、時期的にみてある程度仕方がないことではないかと思われる。それよりも、C. difficile 感染対策についての推奨が結構、国によってばらつきがあることが面白い。1 度自施設の C. difficile 感染対策のマニュアルと見比べてみるとよいだろう。

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