集中治療室感染症、およびその転帰の 80 歳以上の患者と 80 歳未満の患者との比較★

2014.07.31

Comparison of intensive-care-unit-acquired infections and their outcomes among patients over and under 80 years of age


J-M. Maillet*, E. Guérot, A. Novara, J. Le Guen, H. Lahjibi-Paulet, G. Kac, J-L. Diehl, J-Y. Fagon
*Hôpital Européen Georges-Pompidou, France
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 152-158
背景
80 歳を超える患者の集中治療室(ICU)への入室が増加している。しかし、この患者集団の ICU 感染症についてはほとんど知られておらず、また侵襲的処置の実施率は増加している。
目的
高齢(80 歳以上)患者およびこれより若年の患者の ICU 感染症の頻度と影響を比較評価すること。
方法
大学病院の 18 床の ICU に 3 年間で 3 日以上入室した連続症例を後向きに評価した。
結果
研究対象集団の 18.9%が高齢患者であった。入室時の臓器機能不全の平均有病率は、高齢患者と若年患者で同等であった。侵襲的処置の実施状況も高齢患者と若年患者で同等であり、2 日を超える侵襲的人工呼吸 67.4%対 55%、中心静脈カテーテル留置 56.9%対 51.4%、腎代替療法 17.6%対 17.8%であった。ICU 感染症発生率は高齢患者 16.5%、若年患者 13.9%(P = 0.28)、1,000 ICU 日あたりの ICU 感染症エピソード数は 20.5 対 18.9 であった(P = 0.2)。Cox モデルにより、ICU 感染症の独立リスク因子として中心静脈カテーテル留置および 2 日以上の侵襲的人工呼吸が特定された。ICU 感染症と、ICU への長期入室、看護師の仕事量増加、ICU および病院死亡率との関連は、高齢患者と若年患者で同等であった。
結論
ICU 感染症発生率は高齢患者と若年患者で同等であり、ICU 感染症と、ICU 入室期間、看護師の仕事量、侵襲的処置の実施率が高い ICU での死亡率との関連も、高齢患者と若年患者で同等であった。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
平均寿命の増加により、高齢者、特に 80 歳以上の患者の集中治療室(ICU)への入室頻度は増加し、入室者の 10%以上との報告もある。それにもかかわらず、高齢者への治療は、若い患者に較べ、集中治療の程度が低いともいわれている。さらに 80 歳以上の高齢者の ICU 入室患者の感染症に関する研究はほとんどない。日本においては、医療制度と高齢化により、高齢者の ICU 入室は増加の一途をたどっている。本研究は、80 歳以上の高齢者の ICU 入室関連の感染症(人工呼吸器関連感染、中心静脈カテーテル関連感染、尿路感染など)についての研究であり参考になる。ただし、高齢者においては ICU 入室前のバイアスがかかっている可能性がある。

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