カテーテル関連血流感染症:3 次病院における疾患負荷
Catheter-related bloodstream infection: burden of disease in a tertiary hospital
H.R. Martínez-Morel*, J. Sánchez-Payá, M.J. Molina-Gómez, P. García-Shimizu, V. García Román, C. Villanueva-Ruiz, M. González-Hernández, A. Nolasco-Bonmatí
*Alicante University General Hospital, Spain
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 165-170
背景
サーベイランスプログラムは、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)の制御のための最も効果的なツールとされている。しかし、あらゆる病院環境を対象としているプログラムを調査した研究はほとんどない。
目的
カテーテルの挿入と維持に関する推奨事項の遵守を基本とする CRBSI 制御プログラムの結果を、3 次病院での 1 年間の疾患負荷を指標として報告すること。
方法
あらゆる病院環境を対象とする CRBSI 制御プログラムを実施した。このプログラムは、CRBSI のサーベイランス、遵守成績の評価のためのカテーテル挿入・メンテナンスの直接観察、および医療従事者に対する教育により構成されるものであった。
結果
全体で、短期型カテーテルの挿入は 1,546 例に対して 2,043 本、18,570 カテーテル日であり、長期型カテーテルの挿入は 243 例に対して 279 本、40,440 カテーテル日であった。1 年間の 1,000 カテーテル日あたりの CRBSI 発生率は、短期型カテーテル 5.98 件(第 1 期 6.40 件、第 2 期 5.64 件)、長期型カテーテル 0.57 件(第 1 期 0.66 件、第 2 期 0.43 件)であった。挿入手順を 140 回観察し、平均挿入時間は 13 分(標準偏差 7 分)であった。推奨事項の遵守率は手指衛生 86.8%、クロルヘキシジン・アルコール溶液による皮膚消毒 35.5%、マスク着用 93.4%、手袋着用 98.7%、ガウン着用 75.0%、滅菌クロス使用 93.8%、帽子着用 92.2%、ドレッシング使用 62.7%、無菌操作 89.5%であった。メンテナンスのための処置を 45 回観察し、遵守率は手指衛生 42.1%、手袋着用 78.1%、クロルヘキシジンのアルコール溶液によるポート消毒 32.5%であった。
結論
当院で実施した CRBSI 制御プログラムにより CRBSI 発生率が低下し、全体的な疾患負荷に関する重要な情報が得られ、今後の介入改善につながると考えられる方法が判明した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
医療関連感染サーベイランスの内の CRBSI の発生動向と実際の関係する処置手順が適切かどうかを同時並行して確認し分析している論文である。観察されているという影響(Hawthorne 効果)も手伝い、効果的な反面、持続性が課題となる。
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