リアルタイム PCR はクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染の臨床診断と高い相関を示す

2014.06.30

Real-time polymerase chain reaction correlates well with clinical diagnosis of Clostridium difficile infection


N. Berry*, B. Sewell, S. Jafri, C. Puli, S. Vagia, A.M. Lewis, D. Davies, E. Rees, C.L. Ch’ng
*Singleton Hospital, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 109-114
目的
急性期病院でのクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染の迅速分子アッセイの臨床的有用性を明らかにすること。
方法
2011 年 3 月から 9 月に 2 つの急性期病院で C. difficile 感染が疑われた患者から得た糞便サンプルを用いて、日常的な細胞培養サイトトキシン中和法(cell culture cytotoxin neutralization assay;CCNA)、GeneXpert を用いたリアルタイム PCR 法(Cepheid Inc.、Sunnyvale、CA、USA)、および二重検査アルゴリズム(グルタミン酸脱水素酵素[GDH]/トキシン酵素免疫測定法、Premier、Launch Diagnostics、Longfield、UK)による検査を前向きに実施した。PCR 法または CCNA が陽性であるか、結果が一致しない患者については、全例を多職種チーム(治療を担当する臨床医、消化器専門医、微生物専門家、および感染制御看護師)が精査した。
結果
C. difficile 検出率は、11.7%(PCR 法)、6%(CCNA)、13.8%(GDH)であった。研究対象の糞便サンプル 1,034 件中 974 件(94.1%)では、CCNA と PCR 法の結果が一致した。89%(985 件中 886 件)で CCNA、PCR 法、GDH の結果が一致し、94.4%(985 件中 930 件)で GDH と PCR 法の結果が一致した。臨床診断を基準とした評価による PCR 法の感度は 99.1%、特異度は 98.9%、陽性的中率(PPV)は 91.9%、陰性的中率(NPV)は 99.9%であった。同一サンプルの CCNA の感度は 51%、特異度は 99.4%、PPV は 91.9%、NPV は 94.3%であった。GDH の感度は 83.8%、特異度は 94.5%、PPV は 64.7%、NPV は 97.9%であった。PCR 法では CCNA と比較して約 2 倍の患者が陽性であり(121 例対 62 例)、結果が一致しなかった患者 59 例中 54 例は、臨床的に C. difficile 感染が確認された。
結論
PCR 法を用いた C. difficile 感染の迅速診断は適時かつ正確であり、臨床診断との高い相関を示した。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
GeneXpert を用いたリアルタイム PCR 法による診断に関連する研究が増えてきている。感度が高いこと、結果が出るまでの時間が従来の方法に比べて大幅に短縮できることが利点であるが、費用も加味した評価が知りたいところである。

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