クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染多発時の入念な清掃とその後の過酸化水素による汚染除去の効果
Effectiveness of deep cleaning followed by hydrogen peroxide decontamination during high Clostridium difficile infection incidence
E.L. Best*, P. Parnell, G. Thirkell, P. Verity, M. Copland, P. Else, M. Denton, R.P. Hobson, M.H. Wilcox
*Leeds Teaching Hospitals NHS Trust, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 87, 25-33
背景
クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染は依然として感染制御における課題であり、環境中の芽胞による汚染や不十分な清掃によって伝播リスクの上昇が見込まれる場合には、特に問題となる。
目的
C. difficile 感染多発後に実施した、脳卒中リハビリテーション部門全体の入念な清掃と過酸化水素による汚染除去の長期的な効果を明らかにすること。
方法
スポンジ拭き取りによる広範囲に及ぶ C. difficile の環境サンプリング(各回 342 か所)を、塩素系洗浄剤を用いた入念な清掃の前後、過酸化水素による汚染除去の直後、および過酸化水素による汚染除去の 19 日後と 20 週後に実施した。C. difficile 分離菌株に対して、PCR 法によるリボタイピングおよび multi-locus variable repeat analysis(MLVA)を行った。
結果
C. difficile の回収率はベースライン時 10.8%、入念な清掃後 6.1%、過酸化水素による汚染除去の直後 0.9%、19 日後 0%、および 20 週後 3.5%であった。入念な清掃後に回収された C. difficile のリボタイプは、それに先立つ10か月間に脳卒中リハビリテーション部門で認められた C. difficile 感染症例のものと一致した。同様に、過酸化水素による汚染除去の 20 週後に陽性と判定された 12 か所中 10 か所でも、過酸化水素による汚染除去後初めての C. difficile 感染症例からの分離株と同一の C. difficile リボタイプ(002)および MLVA パターンを示した。C. difficile 感染の発生は、介入前の 20 件(脳卒中リハビリテーション部門における 10 か月間[2011 年 1 月から 10 月]の件数)から介入後には 7 件(その後の 10 か月間の件数)に減少した。
結論
塩素系洗浄剤を用いた入念な清掃後の過酸化水素による環境中の C. difficile 汚染の除去効果は、極めて高かった。長期追跡から、C. difficile 感染症状を有する患者は周囲環境を急速に再汚染する可能性があることが示された。過酸化水素による汚染除去の意義を明らかにする際には、長期的な費用対効果の評価も行うべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
2剤による清掃効果と、例えば次亜塩素酸で2回行った場合の比較などもみてみたいものである。
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