蒸気化過酸化水素の殺ウイルス効果の評価★

2014.04.28
☆

Evaluating the virucidal efficacy of hydrogen peroxide vapour


S.M. Goyal*, Y. Chander, S. Yezli, J.A. Otter
*University of Minnesota, MN, USA
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 255-259
背景
表面汚染は特定のウイルスの伝播に関与しており、表面の消毒はこれらのウイルスの伝播を阻止する効果的な方策であると考えられる。
目的
医療、獣医学、および公衆衛生の各領域で重要な、構造が異なる種々のウイルスの不活化を指標として、蒸気相消毒法である蒸気化過酸化水素の in vitro 効果を評価すること。対象ウイルスは、ネコカリシウイルス(FCV、ノロウイルスの代用)、ヒトアデノウイルス 1 型、ブタの伝染性胃腸炎ウイルス(TGEV、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス[SARS-CoV]の代用)、鳥インフルエンザウイルス(AIV)、および豚インフルエンザウイルス(SwIV)とした。
方法
20 μL または 40 μL のウイルス懸濁液をステンレススチール製のディスク上で乾燥させ、0.2 m3 の環境チャンバー内で Clarus L generator(Bioquell, Horsham, PA, USA)により生成した蒸気化過酸化水素に曝露させた。3 種類の体積(25、27、および 33 mL)の蒸気化過酸化水素を用いて、各ウイルスについて 3 回ずつ試験を行った。
結果
いずれの蒸気体積による蒸気化過酸化水素曝露の試験後にも、生存ウイルスは認められなかった。FCV、アデノウイルス、TGEV、および AIV に対しては、過酸化水素蒸気は試験の最小蒸気体積(25 mL)で殺ウイルス作用(> 4 log 減少)を示した。SwIV については対照ディスクのウイルス濃度が低かったため、蒸気体積 25 mL では >3.8 log の減少であり、27 mL および 33 mL では > 4 log の減少を示した。
結論
蒸気化過酸化水素は表面上で乾燥させた種々の構造のウイルスに対する殺ウイルス作用を有しており、このことから、蒸気化過酸化水素はウイルスで汚染された表面の消毒法の 1 つであると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
蒸気化過酸化水素水(HPV)の殺ウイルス効果を、ウイルスを塗布後に乾燥させたステンレス表面上で見たものである。ウイルスの多くは乾燥に弱いが、ノロウイルスやアデノウイルスなどのウイルスは乾燥に強く、環境表面で長時間感染力を維持するため、汚染環境を介して感染が拡大する。これまでの環境整備は、「人力による汚染環境の消毒剤による汚染除去」が主体であり、煩雑さや清拭による確実性に問題であったが、その点 HPV は器械による自動運転であり確実にできる利点がある。クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)菌の芽胞での効果については周知されており、主要なウイルスを対象に実際の状況を模した本研究の結果は興味深い。HPV のウイルス性感染の環境整備対策への応用を示唆する論文である。

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