集中治療室でのカテーテル関連血流感染症予防のための教育的介入は費用対効果に優れるか?★
Are educational interventions to prevent catheter-related bloodstream infections in intensive care unit cost-effective?
K. Cooper*, G. Frampton, P. Harris, J. Jones, T. Cooper, N. Graves, J. Cleland, J. Shepherd, A. Clegg, B.H. Cuthbertson
*University of Southampton, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 47-52
背景
中心静脈カテーテルの管理に関するエビデンスに基づく教育的介入への関心が高まっている。このような介入が、血管内留置カテーテルの使用による血流感染症(カテーテル関連 BSI)リスクの低下、およびこれに伴う費用面および健康面での有益性に対してどの程度の効果をもたらすかについては不明である。
目的
このような介入を導入することによる費用面および健康面での有益性の増加について、ならびにカテーテル関連 BSI に関連する費用について推計すること。
方法
包括的な疫学的・経済的レビューを実施し、教育的介入の導入による費用対効果を介入なしでの臨床実践と比較評価するための経済モデルのパラメーターを設定した。このモデルでは、複数の患者コホートを対象として、患者がカテーテル関連 BSI に罹患すると考えられる集中治療室(ICU)入室以降の臨床経過を追跡し、これに関連する費用、死亡率、および平均余命を推計した。
結果
カテーテル関連 BSI 1 件あたりの費用増加は 3,940 ポンドであった。本モデルの結果から、カテーテル関連 BSI 予防のための教育的介入を導入することによって、患者の平均余命が改善し、総費用が減少した。
結論
エビデンスに基づく教育の導入によりカテーテル関連 BSI の発生が減少すると考えられた。本モデルから、ICU の病床稼働費用の減少に関連する節減額は教育的介入の導入費用を上回る可能性が示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
タイトルにある「教育的介入」とは具体的には「central venous catheter care(CVC)bundle」を指している。CVC bundle は、適切な手指衛生、クロルヘキシジンによる皮膚消毒、マキシマルバリアプレコーション、適切な刺入部位の選択、迅速なカテーテルの抜去の 5 つの要素からなる。本論文はこの CVC bundle の実施・徹底により、患者の平均余命の改善と総費用減少の可能性を示した論文である。日本ではこのような医療経済学的な評価を行える専門家が少なく、まだまだ研究・発展の余地のある分野である。
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