医療施設の組織文化とその感染予防・制御に対する影響
Organizational culture and its implications for infection prevention and control in healthcare institutions
S. De Bono*, G. Heling, M.A. Borg
*Maastricht School of Management, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 1-6
背景
ある病院では感染予防・制御のための介入が成功しても、別の医療施設でそれを実施した際には失敗したり、成功には遠く及ばないことはまれではない。組織的要因はその主な理由の 1 つであると見なされている。そのため近年は、医療の質を改善するために組織文化を理解し、またこれに取り組もうとする動きが強くなっている。
目的
組織文化と医療専門家の行動姿勢との相互関係を調べること、組織文化が感染予防・制御の遵守に影響し得るか、またどのように影響すると考えられるかを明らかにすること、および病院内の感染予防・制御実践を改善する手段としての組織文化の修正介入の意義について検討すること。
方法
人間の行動と組織の変化に焦点を当てている感染予防・制御関連のジャーナルや出版物の文献レビューを実施し、その知見をまとめた。
結果
本稿では、医療現場の組織文化に関する理論について評価するとともに、種々の要素が感染予防・制御に関連する行動に対してどのように影響を及ぼすと考えられるかを明らかにした。適切にデザインされた研究が不十分であることを指摘しているものの、適切にデザインされカスタマイズされた組織文化改変のための取り組みは、手指衛生などの感染予防・制御実践にプラスの影響を及ぼす可能性があることを示唆している文献についても、本稿ではそのいくつかを特定した。
結論
組織文化の変革は、理論的観点と入手可能な少数の研究の結果の両方からみて、感染予防・制御改善キャンペーンの困難ではあるが有望な標的であると考えられた。しかし、効果的かつ持続的な変革をもたらすことができる有効な戦略を特定するためには、より多くのデータと、質に関する情報が必要である。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
感染予防と制御に関する組織文化に絡んだ論文調査に関する総説である。レビューのなかでは、検索により見いだされた有益な情報を数々紹介している。
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