北アイルランドの新生児室における蛇口の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)バイオフィルムに関連する医療関連感染の調査
Investigation of healthcare-acquired infections associated with Pseudomonas aeruginosa biofilms in taps in neonatal units in Northern Ireland
J.T. Walker*, A. Jhutty, S. Parks, C. Willis, V. Copley, J.F. Turton, P.N. Hoffman, A.M. Bennett
*Public Health England, Salisbury, UK
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 16-23
背景
北アイルランドの病院で、2011 年 12 月と 2012 年の初めに新生児 4 例が緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)菌血症により死亡した。
目的
緑膿菌と新生児室の蛇口との関連、および水からの分離株と患児由来分離株との一致について評価すること。
方法
当該病院の 30 の蛇口と 8 つの整流器を 494 の部品に分類・分解し、非選択寒天培地および選択寒天培地を用いて好気性菌コロニー数と緑膿菌数を評価した。Variable number tandem repeat(VNTR)解析により、緑膿菌分離株のタイピングを行った。蛇口の特定の部品を落射蛍光顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察し、バイオフィルムを視覚的に評価した。
結果
緑膿菌数が最も多かったのは、整流器、金属製の固定環、およびこれらの 2 つの部品の周囲の蛇口本体であった。複雑な整流器では、その他のタイプの整流器よりも緑膿菌数が有意に多かった(P < 0.05)。ミキサーとソレノイドが一体化した部位は好気性菌コロニー数が最も多かったが(P < 0.05)、好気性菌コロニー数と緑膿菌数との間に強い相関は認められなかった(r = 0.33)。病院の新生児室 2 施設の蛇口から採取した典型的な緑膿菌分離株の VNTR プロファイルは、水道水および感染新生児由来の分離株と一致していた。
結論
緑膿菌は、蛇口の整流器とその周囲の部品のバイオフィルムから優勢に検出され、観察された感染症の感染源である可能性が示された。医療従事者は水道の蛇口が緑膿菌汚染の原因となり得ることを認識して、このような汚染を軽減するための措置を講じ、そのモニタリングを実施し、感受性患者のリスクを最小限にするための戦略を立てるべきである。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント:
新生児室における緑膿菌感染アウトブレイクの原因調査報告である。緑膿菌は遺伝子サイズも大きく、多型性解析を行った場合も多様性に富んでいる。また、水周りには相当数のシュードモナス(Pseudomonas)属菌が付着している場合が多く、終末塩素濃度の管理や業務開始時および定期的な水道の管理が重要となる。
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