病院間ネットワークを介する高リスクの抗菌薬耐性クローンの拡散:患者の紹介先の変更により大きな改善が望める

2014.01.30

Dispersal of antibiotic-resistant high-risk clones by hospital networks: changing the patient direction can make all the difference


T. Donker*, J. Wallinga, H. Grundmann
*University of Groningen, The Netherlands
Journal of Hospital Infection (2014) 86, 34-41
背景
病院での治療を希望する患者は、過去の入院時に病院で獲得した高リスクの抗菌薬耐性病原体クローンを持ち込むことがある。これによって、様々な医療施設が疫学的な関連をもつことになる。これらの関連がすべて結びつくことによって全国的な患者紹介ネットワークが形成され、これを介して高リスククローンが伝播すると考えられる。
目的
紹介パターンとネットワーク構造の変化が、これらの病原体の拡散に及ぼす影響を評価すること。
方法
入院データをマッピングしてイングランドの患者紹介ネットワークを再現し、地理的に区分された 12 の医療圏(healthcare collectives)を特定した。患者が属する医療圏以外の病院に入院および紹介された患者の数を評価した。シミュレーションモデルを用いて、ネットワーク構造の変化が病院獲得型病原体の拡散に及ぼす影響を評価した。
結果
シミュレーションモデルから、医療圏を越える患者の紹介数を、紹介先を変更することによって 1 病院あたり平均 1.5 例/日減らすだけで、拡散は強い影響を受けた。医療圏を越える紹介数を減らすことにより、ネットワークを介する高リスククローンの拡散が 36%減少すると考えられた。一方、地域を越えて全国レベルで専門医によるケアを提供する専門施設を設立すると、拡散率は 48%上昇すると考えられた。
結論
患者紹介ネットワークの構造は、高リスククローンの流行動態に大きな影響を及ぼす。医療圏を越える紹介数に影響を及ぼす何らかの変化は、必然的にこれらの病原体の全国的な拡散にも影響を及ぼす。全国レベルでの専門施設は、感染制御の取り組みを脅かす可能性があるため、その設立にあたっては上述の影響を考慮に入れる必要がある。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
患者の地域医療圏外への受診は結果的に、より広い範囲への拡散に繋がる。理論的には理解できるが、いかにしてシビリアンコントロールするのかという課題が残る。いずれにせよ、他の医療機関で耐性菌保菌者や保菌リスクのある患者が受診・入院する場合には、トレーサビリティを担保できることが必要になりそうだ。

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