汚染した尿管鏡による ertapenem 耐性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)尿路感染症アウトブレイク
Outbreak of ertapenem-resistant Enterobacter cloacae urinary tract infections due to a contaminated ureteroscope
C.-L. Chang*, L.-H. Sub, C.-M. Lu, F.-T. Tai, Y.-C.Huang, K.-K. Chang
*Tainan Municipal Hospital, Taiwan
Journal of Hospital Infection (2013) 85, 118-124
背景
汚染した尿管鏡による尿路感染症のアウトブレイクはほとんど報告されていない。
目的
台湾南部の地域教育病院におけるアウトブレイクを報告すること。
方法
2010 年 10 月から 12 月に、ertapenem 耐性エンテロバクター・クロアカエ(Enterobacter cloacae)が患者 15 例の尿培養から同定された。いずれの患者も感染前に尿管鏡検査を受けていた。尿管鏡検査に関連した環境物品および医療従事者を対象として 3 段階の監視培養を実施した。パルスフィールド・ゲル電気泳動(PFGE)により細菌のタイピングを行った。ディスク拡散法および E-test 法により抗菌薬感受性を評価した。PCR 法およびシークエンシングによりβ-ラクタマーゼ遺伝子解析を行った。
結果
第 1 回の監視培養で 70 サンプルを得た。尿管鏡から ertapenem 耐性 E. cloacae 1 株が分離された。尿管鏡の消毒プロトコールを修正・適用したが、その後もさらに 7 件の尿路感染症症例が特定された。病原体はその後の 2 回の監視培養でも同定され、消毒プロトコールにエチレンオキサイド滅菌を追加するまでは除去されなかった。PFGE では、患者由来の分離株 15 株、尿管鏡由来の分離株 3 株はいずれも、わずかな変異はあるものの共通パターンを示した。ほとんどの分離株はゲンタマイシン、レボフロキサシン、セフトリアキソン、セフタジジム、および ertapenem 耐性であった。いずれの分離株もアミカシン、イミペネム、メロペネムには感性を示した。SHV-12 と IMP-8 遺伝子の両方が 18 株中 16 株に特定された。
結論
Ertapenem 耐性 E. cloacae のアウトブレイクは、汚染した尿管鏡に起因するものであり、修正した尿管鏡消毒プロトコールの適用により終結した。
サマリー原文(英語)はこちら
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