21 世紀における医療関連感染の電子サーベイランスの進歩:システマティックレビュー★

2013.06.29

Advances in electronic surveillance for healthcare-associated infections in the 21st Century: a systematic review


R. Freeman*, L.S.P. Moore, L. García Álvarez, A. Charlett, A. Holmes
*Imperial College London, UK
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 106-119
背景
従来の医療関連感染サーベイランスの手法は、資源集約型・時間浪費型の場合がある。そのため、サーベイランス対象が特定の微生物や感染症の種類に限定されることが多い。医療環境には種々の電子データベースが存在しており、医療関連感染サーベイランスを実施する際に利用できる可能性がある。
目的
医療関連感染の監視・検出のための電子サーベイランスの有用性を評価すること。
方法
医療関連感染サーベイランスに関する公表文献のシステマティックレビューを行った。2000 年 1 月から 2011 年 12 月に発表された研究をデータベースで検索した。検索語を感染、サーベイランス、およびデータマネジメントの項目に分類し、ブール演算子を用いて検索式を作成した。医療関連感染サーベイランスにおける電子システムの利用について実証または提案している研究を、本総説の対象とした。
結果
合計 44 件の研究が組み入れ基準に合致した。半数以上の研究は、特定の臨床環境における感染の自動監視方法を提供するための、電子データベースの連携に重点を置いていた。21 件の研究は、著者らの方法の性能を、従来のサーベイランス方法や手動の参照方法と併せて評価していた。感度と特異度を算出したところ、サーベイランス対象の微生物や感染症の種類、および使用したデータソースによってばらつきが認められた。
結論
多くの環境で電子サーベイランスの導入が可能であり、いくつかのシステムは病院の情報システムおよび日常的なサーベイランス作業の中に完全に組み入れられていた。本総説の結果から、病院内の豊富な電子データ情報の有効性を最大限に活用するために、電子サーベイランスシステムを開発すべきであることが示唆される。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
多くの病院でサーベイランスはそのほとんどのプロセスが人の手による作業にかかっており、時間的制約が対象感染症や微生物を制限していることは日本でも同様である。このレビューでは 44 の論文による解析を行っているが、その多くで電子カルテシステム、微生物検査システム、画像システムなど複数のデータとリンクし、NHSN などを引用して定義を設定した BSI、UTI、SSI などのサーベイランスが実施されていること、感度も特異度もばらつきがあることがわかった。我々が導入あるいは開発を検討するときに、考えるポイントの参考になるレビューである。

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