発展途上国における病院関連感染症有病率の効果的な低下は可能である

2013.06.29

Prevalence of hospital-associated infections can be decreased effectively in developing countries


M. Ogwang*, D. Paramatti, T. Molteni, E. Ochola, T.R. Okello, J.C. Ortiz Salgado, A. Kayanja, C. Greco, D. Kizza, E. Gondoni, J. Okot, L. Praticò, V. Granata, A. Filia, H. Kellar Ayugi, D. Greco
*St. Mary’s Hospital Lacor, Uganda
Journal of Hospital Infection (2013) 84, 138-142
背景
病院関連感染は、世界中で公衆衛生上の重要な問題となっている。アフリカ諸国から得られる情報はわずかであるが、公表データからは、アフリカの病院関連感染の負荷は先進国よりも大きいことが示されている。世界保健機関(WHO)は 2002 年に病院関連感染予防のためのガイドラインを発表した。
目的
ウガンダの大規模病院の患者における病院関連感染症有病率に対する病院感染制御プログラムの効果を評価すること。
方法
Lacor 病院で 2010 年 3 月に、標準化された質問票を用いて 1 日の横断的有病率調査および病棟のプロセス調査を実施した。調査の 2 日以上前に入院した全患者を有病率調査の対象とした。病院関連感染症の定義は修正 WHO 基準を用いた。病棟のプロセス調査により病院関連感染予防策の評価を行った。その後 2010 年 10 月から、WHO の感染制御ガイドラインに沿ったいくつかの病院感染制御策を導入した。有病率調査および病棟のプロセス調査を 2011 年 10 月に再度実施した。
結果
病院関連感染症有病率は 2010 年 34%、2011 年 17%であった。病院関連感染症患者有病率※※は 28%から 14%へ減少した。感染制御策導入後は、すべての年齢群、および尿路感染症を除くすべての種類の病院関連感染症で、病院関連感染症有病率が低下した。
結論
本研究により、このアフリカの大規模病院では病院関連感染が重要な問題であること、および基本的な感染制御策の導入により病院関連感染症有病率を効果的に低下させることが可能であることが示された。
サマリー原文(英語)はこちら
監訳者コメント
論文本文中には、2010 年の調査に基づく課題の抽出と、それに対する 2011 年の調査時の対応が記載されていたが、UTI に関しては、使用期間への介入ができておらず、それが、今回の結果につながっていると思われた。このようなプロセス調査は、施設内で対策を強化したり改良した際のリスクアセスメントに不可欠である。

監訳者注:
病院関連感染症有病率(prevalence of HAI):本研究での定義は、全患者数に対する病院関連感染症の全件数の比。
※※病院関連感染症患者有病率(prevalence of infected patients):本研究での定義は、全患者数に対する病院関連感染症を 1 件以上有する患者の割合。

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