市中発症型または院内発症型クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症患者の重症度の基準としての急性腎機能障害の定義

2013.04.30

Defining acute renal dysfunction as a criterion for the severity of Clostridium difficile infection in patients with community-onset vs hospital-onset infection


D.N. Shah*, N.S. Bhatt, J.K. Welch, H.L. Koo, K.W. Garey
*University of Houston, College of Pharmacy, TX, USA
Journal of Hospital Infection (2013) 83, 294-299
背景
重度のクロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症(CDI)を定義するために、急性腎機能障害の有無を使用することが可能である。米国医療疫学学会(SHEA)および米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは、急性腎機能障害の定義は血清クレアチニン(SrCr)値が発症前の 1.5 倍以上となった状態であるとしている。
目的
CDI の入院患者を市中発症型 CDI と院内発症型 CDI に分類し、それぞれの発症前の SrCr を評価することが可能であるかどうかを明らかにすること、および急性腎機能障害の基準として、種々の定義による発症前 SrCr について評価すること。
方法
CDI の入院患者を市中発症型 CDI と院内発症型 CDI に分類した。発症前の SrCr が評価可能であるかどうかを明らかにするとともに、種々の定義による発症前 SrCr を用いて急性腎機能障害発生率および CDI の重症度を比較した。
結果
合計 293 例の CDI 患者を評価対象とし、このうち 135 例(46%)は市中発症型 CDI、158 例(54%)は院内発症型 CDI であった。市中発症型 CDI 患者 37 例(27%)および院内発症型 CDI 患者 1 例(1%未満)からは、発症前の SrCr のデータを入手することができなかった(P < 0.0001)。使用した発症前の SrCr の定義に応じて、急性腎機能障害の発生率の範囲は市中発症型 CDI 患者で17%から 24%(P = 0.26)、院内発症型 CDI 患者で 13%から 14%(P = 0.81)であった。患者 293 例中 43 例(15%)については、主として発症前の SrCr のデータが欠如していたため(38例)、CDI の重症度を決定することができなかった。
結論
多くの市中発症型 CDI 患者では、現行の SHEA/IDSA ガイドラインを用いて急性腎機能障害および CDI の重症度を評価することは不可能であった。市中発症型 CDI の発生率が上昇していることを考えると、これに代わる急性腎機能障害の定義が必要であると考えられる。
サマリー原文(英語)はこちら

同カテゴリの記事

2008.04.25

Application of the forensic Luminol for blood in infection control

2021.04.30

Flexible gastrointestinal endoscope processing challenges, current issues and future perspectives

 

N. Omidbakhsh*, S. Manohar, R. Vu, K. Nowruzi

*Advanced Sterilization Products, USA

 

Journal of Hospital Infection (2021) 110, 133-138

 

 

2021.11.30
Aerosol-generating dental procedures: a reappraisal of analysis methods and infection control measures

K.S. Tan*, R.J.J. Chew, P.F. Allen, V.S.H. Yu
*National University of Singapore, Singapore

Journal of Hospital Infection (2021) 117, 81-88


2021.06.30

Clinical and molecular characteristics of OXA-72- producing Acinetobacter baumannii ST636 outbreak at a neonatal intensive care unit in Serbia

 

I. Gajic*, M. Jovicevic, M. Milic, D. Kekic, N. Opavski, Z. Zrnic, S. Dacic, Lj. Pavlovic, V. Mijac

*University of Belgrade, Serbia

 

Journal of Hospital Infection (2021) 112, 54-60

 

 

2023.06.02
Prediction model of central nervous system infections in patients with severe traumatic brain injury after craniotomy

G. Lu*, Y. Liu, Y. Huang, J. Ding, Q. Zeng, L. Zhao, M. Li, H. Yu, Y. Li
*Yangzhou University, China

Journal of Hospital Infection (2023) 136, 90-99


JHIサマリー日本語版サイトについて
JHIサマリー日本語版監訳者プロフィール
日本環境感染学会関連用語英和対照表

サイト内検索

レーティング

アーカイブ